安倍晋三総理は1日、記者会見を行い、「今回の閣議決定により、関連法案の作成チームを立ち上げ、直ちに作業を開始したい」と安保法制の整備に即座に着手する考えを示した。
また安倍総理は「今後とも丁寧に国民に説明を行いながら」と語った。しかし、与党協議で合意後、野党から閣議決定前の衆参の委員会の開催要請に応じず閣議決定したことから、丁寧に説明するより、年内の日米防衛協力のガイドライン見直し前に関連法の整備を急ぐ必要を優先している姿勢が強くみえる。
安倍総理は会見で「集団的自衛権の実際の行使にあたっても、個別的自衛権の場合と同様に、国会の承認を求める考えだ」とした。また「憲法が掲げる平和主義はこれからも守り抜いていく」と語った。当然だろう。
この日の会見では冒頭から「いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく。内閣総理大臣にはその大きな責任がある」と安全保障上の大転換につながる「憲法解釈の変更」という歴史的な行為の正当性を「国民の命、平和な暮らしを守るため」と強く前面に引き出して、理解を求めた。
安倍総理は「新しい安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定した」とした。憲法にかかわる問題を「自民党と公明党の与党が濃密な協議を重ねた」(総理)からといって、「一政府が歴代政府の解釈をねじ曲げて正当化していいのか」(野党)、今後、国会内外で問われるところとなる。
安倍総理は会見で「現実に起こり得る事態に国民の命と平和な暮らしを守るため、現行憲法の下で何をなすべきかの議論だ」と憲法を逸脱したものでないとアピール。
安倍総理は「海外派兵は一般に許されないとする従来からの原則も全くかわらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争の戦闘に参加するようなことはこれからも、決してない。外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解がある。そのようなこともあり得ない」とした。あり得ないとする根拠を今後は示すことが必要だろう。
また安倍総理は「憲法が許すのはあくまで、我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置だけ」と力説した。
「外国の防衛事態を目的とする武力行使は今後とも行いません」と語ったが、現行憲法下において『行えません』とは言わなかった。
安倍総理は「今回の閣議決定で(抑止力が高まり)日本が戦争に巻き込まれる可能性は一層、無くなっていく」との考えを展開した。(編集担当:森高龍二)