ブルーボトルコーヒーが生まれない 「チャレンジしない国」日本

2014年07月06日 21:20

 米国のコーヒーカルチャーの新風として急成長している「ブルーボトルコーヒー」が今年10月に日本進出することが発表された。このブルーボトルコーヒーが異色なのは、その創業者の経歴だ。創業者ジェームス・フリーマンは、大学卒業後フリーランスのクラリネット奏者として米国各地を回っていた元音楽家だ。その後友人の会社に就職するも倒産、その時に彼が挑戦したのがコーヒービジネスだった。移動式カートでコーヒーを売り始めてから12年で、日本に進出するまでに拡大した。

 このブルーボトルコーヒーの成功は、起業大国米国の姿を如実に示している。米国では若くして起業し成功する人が非常に多い。18歳から64歳までの人口に占める起業活動を行っている人を示す起業活動率で米国は先進国の中ではトップの12.3%を誇っている(13年、グローバル・アントルプレナーシップ・モニター調べ)。実に約8人に1人が起業をしているのだ。これに対し日本の起業活動率は5.2%、起業家は約20人に1人しかいない計算だ。

 安倍首相は前回政権を担当したときから「再チャレンジ」を掲げ担当大臣をおいているが、調査結果を見るかぎり日本はそもそも「チャレンジしない国」だと言える。なぜ米国と日本でこれ程までの差が生まれているのだろうか。

 この日本における起業活動率の少なさについて、制度上の問題を理由としてあげる向きもあるが、これは的確とはいえない。確かに創業期に支援を行う個人投資家に対する税制上の優遇措置が不十分であるなどの問題もあるが、資本金規制の撤廃や投資家と出会う場である「ベンチャープラザ」の開催など企業を支援する政策は多く取られている。それでは問題はどこにあるのだろうか。それは、私たちの「頭の中」にあるといえるかもしれない。日本では「起業」というものについての評価がそのほかの先進国と比べ非常に低い。米国やイギリスなどでは起業家に対して8割近くの人が好意的な評価をしているが日本における割合は5割程度である。

 このような社会の評価は学生の進路選択にも大きく影響をしている。日本の大学では卒業時に「どこに就職しようか」と考え「就職」活動を始める。再チャレンジできる社会をつくることも確かに大切だが、まずは大学生が卒業時に「起業するか就職するか」の選択を加え、ブルーボトルコーヒーのような意欲的なチャレンジを促す社会づくりを進める必要ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)