6月、経済協力開発機構(OECD)は、加盟国など世界34カ国・地域の中学校の教員を対象に、勤務環境などを調べた国際教員指導環境調査(TALIS)の2013年度の結果を発表した。発表された結果では、日本の教員の仕事時間は1週あたり53.9時間で、参加国平均の38.3時間を大きく上回った。これは2位のシンガポール(47.6時間)を引き離し世界最長だ。
日本の教員の仕事時間の長さはここ数年変わっていない。今回の調査の4年前09年にはすでに年間で仕事時間は1,899時間をいう結果が出ており、これは調査参加国の平均を236時間も上回っている。加えてこれは「法定労働時間」であり残業時間は含まれていない。文部科学省が06年度に実施した「教員勤務実態調査」では高校の教員の残業時間が1月あたり約37時間、持ち帰り時間も1日30分近くあるという結果が出ているため、実際の教員の負担はさらに多いものだと言えるだろう。
教員の抱える問題はそれだけではない。このような仕事時間の長さにも関わらず、授業に使った時間は1週あたり17.7時間と、調査参加国の平均19.3時間を下回った。本来の授業以外の仕事に追われている、そんな教師の姿がこの調査から浮かび上がってくる。日本の教員は1週に7.7時間を「課外活動の指導」に使っている。参加国平均は2.1時間であるから日本の時間数は特出している。さらに、書類作成をはじめとした「一般的な事務」も教員の時間を奪っている。日本の教員が「一般的な事務」に使っている時間は1週あたり5.5時間。参加国平均は2.9時間、日本は平均の倍近くだ。日本の教育現場は、教員を授業に集中させてくれない場になってしまっていると言わざるを得ないだろう。
このような現状に対し、私たちはどのように対処すべきだろうか。その一つの答えが「学校支援ボランティア」だ。このボランティアは教師の「授業以外」の仕事を代わりに担う。たとえば高知県では、放課後の部活動の指導補助や花壇の整備をはじめ、学校行事のビデオ撮影や通学路の安全指導といった様々な仕事についてボランティアを募集している。
これは逆に言えば、それだけ多岐にわたる仕事を今教員は担っているということだ。学校支援ボランティアは教員をサポートするとともに教師の負担を減らし不注意等を減らすことにもつながるものだ。教師の数をすぐに増やすことができないのは仕方のないことだが、教育現場の改善のため、早急な対応が求められている。(編集担当:久保田雄城)