国内総合酒類ビールメーカーのなかでアサヒグループホールディングス(HD)が絶好調のようだ。同グループの2014年上半期連結営業利益は目標の370億円に対して400億円超になり、上半期営業利益として過去最高となった。アサヒグループHDの2014年上半期の売上は、前年比4%増の8100億円超にのぼる。
昨年、ギフト限定商品として発売した「スーパードライ・プレミアム」を本年2月から通常販売商品とし、ユーザーの高級ビール志向に応えた。結果、消費増税による買い控えなどを克服し、反動影響を吸収した恰好となった。
スーパードライ・プレミアムはコンビニなどの通常販売価格が255円前後(350ml缶)と通常の缶ビールに比べて30円ほど高い。が、「コクとキレがあり旨味」が消費者の支持を獲得した。加えてアベノミクスの影響か、景気回復の追い風を受けて販売を伸ばした。アサヒビールによると販売計画の1.5倍に達するという。
プレミアムビール市場は長らくサッポロの「エビスビール」がひとり勝ち状態で推移、2007年頃からサントリーの「プレミアムモルツ」が大ヒットし2強体制を築いた。そこにビール最量販企業のアサヒが新たな楔を打ち込んだというわけだ。
アサヒビールの主力商品である「スーパードライ」の販売も堅調で、上半期で2%増。同社は新ジャンル・発泡酒などを含めたビール類全体の70%以上が税率の高いホンモノのビールが占めるメーカーで、その利益率は高い。ビール類全体でも前年同期を上回り、消費増税による反動は収束したと見ている。夏に向けて料飲店向けの営業攻勢も順調で、「氷点下のスーパードライ」が好評で取り扱い店が増加、顧客の支持を集め自信を深めている。
同社では2014年度の営業利益を前年比5%増の1230億円と見込んでいたが、上半期の好調を受けて上方修正する可能性も出てきた。この夏、エルニーニョなどの影響で冷夏も噂され、ビール需要にどのような影響があるか不透明な要素もある。が、同社ビール事業は底堅く推移しそうだ。(編集担当:吉田恒)