先月4月の国内大手ビールメーカー5社(サッポロビール、アサヒビール、キリンビール、サントリー酒類、オリオンビール)のビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の課税出荷量は、消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減の影響を受け、前年比21%ダウンという大幅なマイナスをみせたが、そうした反動減によるマイナス影響に歯止めがかかり始めたようだ。
11日に「ビール酒造組合」と「発泡酒の税制を考える会」が発表した5月の国内大手ビールメーカー5社のビール系飲料の課税出荷量の合計は、前年比0.8%ダウンの3661万ケース(1ケースあたり大瓶20本換算)という結果であり、先月にみられた反動減のマイナス影響がほぼ解消された形となった。
内訳を見てみると、ビールが前年比2.6%ダウンの1725万ケース、発泡酒が前年比10.4%ダウンの469万ケース、第3のビールが前年比5%アップの1467万ケースで、合計3661万ケースという結果であった。ビールや発泡酒については5月上旬まで反動減の影響を受け苦戦したものの、各メーカーが相次いで新商品を発表した第3のビールが好調に推移し、全体をけん引する形となった。
4月1日に実施された消費税増税を前に発生した駆け込み需要により、各メーカーともにビール系飲料の売上が大幅に増加したものの、その反動を受け4月は前年を大きく下回る結果となった。しかしそうした反動減も5月に入ると終息に向かい始め、結果0.8%ダウンという小規模なマイナス幅に収まった。
こうして反動減に歯止めがかかり始めた理由として、駆け込み需要の際に買い込まれた家庭のビール系飲料のストックがなくなり始めたためではないかとの予想がなされている。そのため、今後は業界全体にプラス傾向が訪れるとの見通しもある。
各業界に大きな影響を残した、また、今なお残しつつある反動減だが、こうしてそのマイナス影響に歯止めがかかり始めたことは今の日本経済にとって歓迎すべきことではある。ようやく回復傾向がみられ始めた日本経済の足を引っ張ることなく、このままほかの業界でも反動減の影響が終息に向かうことを願うばかりである。(編集担当:滝川幸平)