航空機エンジン製造現場から家庭まで 利用が勢いづく3Dプリンタ

2014年07月13日 20:31

 先月、世界最大のコングロマリットであるゼネラル・エレクトリック(GE)は、ガスタービンやガスエンジンなどの発電機器の事業部門であるGEパワー&ウォーターが最先端で高度な製造技術(アドバンスト・マニュファクチャリング)を導入した始めての施設の着工の開始を発表した。同社は今後10年間にわたり4億ドルをこの分野に投資予定だという。この新しい施設「アドバンスト・マニュファクチャリング・ワークス」で活用されている技術、それが3Dプリンタだ。

 同社はこれまでにも3Dプリンタを最先端の技術として評価してきた。今年3月に発表した世界の産業界における新たな変革についてまとめた「Future of Work」というレポートでも、3Dプリンタは「革命的な技術」であるアドバンスト・マニュファクチャリングの代表として挙げられている。3Dプリンタは航空機エンジン向けのより軽量で強靭な部品など新たな製品の開発を可能にしたと、レポートの中では解説されている。

 名前は知っていても製造業にかかわりのない人にはあまり馴染みのない3Dプリンタだが、製造現場ではすでに利用が進んでいる。物体の情報をコンピューターに読み込み、それをプラスチックや金属などの材料で形作ることで、在来の鋳型から削ったりドリルで穴を開けたりする製造方法のように材料を無駄にすることがないことがこの技術の最大の利点だ。さらに製造時間も大幅に削減することができ、迅速な製品開発が可能となることも製造現場で導入が進んでいる理由の一つに挙げられている。アメリカではフォード・モーターやバービー人形で有名な玩具メーカー、マテルなども利用を拡大しており、フォードは低燃費エンジン、マテルはほとんどの製品の試作品製造にこの技術を用いているという。

 製造現場で信頼を勝ち得ている3Dプリンタの次の行く先、それは私たちの家庭かもしれない。GEの発表と時を同じくして、3Dプリンタを用いたサービスを提供しているDMM.makeがAdobe Photoshop CCとの提携を発表した。この提携で、Photoshopで作成した3Dデータを用いて3Dプリントができるようになることで、この技術がより手軽になることを目指すという。今年8月には秋葉原に体験拠点も設立予定であり、これまであまり見出されていなかった一般家庭での活用方法が提案されることも期待される。高度な製造現場から家庭まで―3Dプリンタの利用が拡大すれば、新しい可能性も拡大していくだろう。(編集担当:久保田雄城)