通信教育大手のベネッセホールディングス<9783>の顧客情報漏えい問題は、当該のベネッセHDのみならず、他の企業へその影響の火種は飛び火している。ベネッセの顧客情報約257万件を文献社から購入しダイレクトメールを送っていたソフトウェア開発会社のジャストシステム<4686>は11日、入手したすべてのデータを削除するとの発表を行った。またジャストシステムは、「ベネッセから流出した情報であると認識したうえでこれを利用したという事実は一切ございません」とのコメントを発表している。データの使用はすでに中止されている。
しかしこのジャストシステムの発表に対して、ベネッセHDは12日、漏えいした個人情報の流通ルートなどの解明が困難になるとの理由から、ジャストシステムに対して、現時点ではデータを削除することは中止してほしいとの声明を発表。その上で、警察などの操作に協力するよう求めた。
ベネッセHDの顧客情報は、パンワールド、文献社などの複数の名簿業者で転売されており、警視庁がこれらの業者に事情を聴いたところ、いずれの業者もベネッセの顧客情報とは知らなかったと説明したとのこと。もしこれらの情報が不正手段により入手されたものと知っていた上で転売されていた場合、個人情報保護法に抵触する恐れがあるため、警視庁は引き続き調査を行うとしている。
ジャストシステムは今年5月に文献社より約257万件のデータを購入。その際、ベネッセHDから流出した個人情報であるという認識はなかったと説明しているが、しかし出どころがはっきりとしないデータを購入したことに対する道義的責任があるとして、11日にデータの削除を発表した。
文献社から購入した顧客情報の使用は9日から中止されている。ベネッセHDはジャストシステムに対して、自社の個人情報を使ってダイレクトメールを作成しないように要求していた。
自分の個人情報がいつどこで、どのように売却されたり利用されたりしているか分からないのが、今の世の中だ。だからこそ、それを取扱う企業には十分すぎるほどの注意を払ってもらいたいと思う。まだこの顧客情報漏えい問題は解決したわけではないが、今回のことを教訓に、再発防止に努めてもらいたいと願うばかりだ。(編集担当:滝川幸平)