鹿児島県にある九州電力川内原発1号機、2号機の再稼働に対する安全審査を進めてきた原子力規制委員会は16日の会合で、新基準に適合しているとの審査書案を了承した。今後、1か月(8月15日まで)パブリックコメントを受け付けたあと、その意見も踏まえて審査書を仕上げる。その後、地元に説明をし、同意を得られれば再稼働できる。この場合、新基準に基づく原発の再稼働第1号になる。
新基準では原発の炉心が壊れたり、全電源を失ったりする重大事故に陥った際、損傷の拡大を食い止める装置導入を義務付けている。川内原発は移動式のポンプ車や電源車などを配備し重大事故を防ぐ手立てが備わっているとして評価された。
ただ、半径30キロ圏内の人たちの避難計画など、規制委員会の判断対象から外れている安全確保部分の対応がきちっと整えられることは東電福島第一原発事故の教訓から当然、必要で、これらを整えてからの再稼働でなければ地元の理解は得られないだろう。
安倍総理は「世界で最も厳しい安全基準に適合し、安全とされたものは、立地自治体の理解を得ながら再稼働を進めたい」としており、電力業界や経済界は再稼働に近づいた1歩として評価と期待を寄せている。
一方、反原発、脱原発、卒原発の人たちは避難計画など、万一に備えた周辺環境整備が整わない限り再稼働はすべきでないとの姿勢。
九州電力は「今後とも、同委員会の審査に、真摯かつ丁寧に対応するとともに、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進め、原子力発電所の安全確保に万全を期していく」とコメントした。(編集担当:森高龍二)