6年ぶりに国内の需要と供給の差を示す「需給ギャップ」がプラス転換となった。この「需給ギャップ」は国内の生産能力とそれを消費する能力の差を測る指標であり、需要が供給力を下回った状態、マイナスの数値であれば物価は下落しやすく、デフレ懸念が強まる傾向にあるとされている。
16日、日本銀行が発表した7月の金融経済月報によれば、国内の需要と供給の差を示す「需給ギャップ」が2014年1~3月期にプラス0.6%となったことがわかった。こうして「需給ギャップ」がプラスとなるのはリーマン・ショックが発生する前の08年4~6月期以来、約6年ぶりのこととなる。これにより、デフレ脱却の傾向がより色濃くなった。
日本銀行の黒田東彦総裁は4月の会見でこの「需要ギャップ」について、失業率や企業短期経済観測調査(短観)などのデータからみると、ほとんどゼロに近くなっていくのではないかと思っている、とのコメントを述べていた。しかし内閣府は先月6月に、消費税増税前の駆け込み需要により前期比年率6.7%成長となった今年の1~3月期の「需給ギャップ」は、マイナス0.2%であったとの発表を行っている。
アメリカでリーマン・ショックが発生した2008年9月以来、日本の経済は継続的に「需要ギャップ」のマイナスが続いていたが、最近の景気回復傾向や、消費税増税前の駆け込み需要などの影響により消費が拡大し、それにより需要不足が解消される形となった。今回の結果を受けて日本銀行は、「需要ギャップ」の改善により、14年度後半以降、物価は徐々に上昇していくのではないかとみている。
日本銀行のこの「需要ギャップ」は企業短期経済観測調査などから推計されるが、しかし内閣府では国内総生産(GDP)などにもとづいてそれが推計され、内閣府が先月に発表した14年1~3月期の「需要ギャップ」は依然としてマイナスの、0.2%であった。
4~6月期は、消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減により需要が落ち込むとみられており、このまま「需要ギャップ」が安定してプラスであり続けられえるかどうかは、まだまだ未知数だ。(編集担当:滝川幸平)