【日経平均】NY市場「天井崩れ」でも154円安で踏ん張る

2014年07月18日 20:28

 建設セクターではUBSが清水建設<1803>のレーティングを引き上げ2円高。前田建設工業<1824>もレーティングを引き上げ38円高で年初来高値を更新し値上がり率12位。低位建設株の盛り上がりは夜を越し、熊谷組<1861>は売買高2位、売買代金5位で18円高になり値上がり率7位。鹿島<1812>は8円高で年初来高値を更新した。鉄建<1815>は3円安だが売買高、売買代金とも1位の「2冠王」。日本コンベヤ<6375>は、太田国土交通大臣がリニア新幹線の環境影響評価書を容認してコンベアーの需要拡大が期待されて後場急伸しストップ高の50円高で年初来高値を更新。値上がり率1位、売買高14位に入った。

 中外製薬はモルガンスタンレーがレーティングを引き上げ85円高で年初来高値更新。肺がん薬や血友病治療薬など自社開発新薬を評価された。化粧品の資生堂<4911>は15円高、コーセー<4922>は85円高でともに年初来高値を更新。ユニ・チャーム<8113>は4~6月期の営業利益が過去最高水準の180億円という業績観測で121円高。地球上で人間のベビーが産まれる限り需要はある。

 通販のフェリシモ<3396>は8月中間期に中国子会社の清算で特別損失6000万円を計上すると発表し10円安。ドラッグストアのゲンキー<2772>は3日続伸の255円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。前場に6月期の経常利益を5億円上方修正し増益率が約2倍という見通しを発表して好感された。アルプス技研<4641>は1~6月期の営業利益見通しを1.7億円上方修正し、増益率が70%に拡大して18円高で年初来高値更新。常用雇用型技術者派遣事業で稼働人数や単価が想定以上の水準で推移した。

 今週は羽田新線と品川再開発で買われたJR東日本<9020>は売買代金8位に入り287円の大幅高で年初来高値を更新し値上がり率18位。ディフェンシブ系の陸運セクターは業種別騰落率がプラスだった。

 ベネッセHD<9783>の顧客情報漏洩問題は、名簿業者に売った元SEの容疑者が逮捕された。原田泳幸会長兼社長は前日記者会見し、金銭補償として総額約200億円を用意と言及。もし全額を特別損失に一括計上すれば今期の通期純利益見通し213億円の大部分が吹き飛ぶ計算で、会員数の減少、情報セキュリティの追加投資次第では最終損益赤字転落も十分ありうる。株価は75円安だった。知らずに名簿を買ったというジャストシステム<4686>はこの日、経済産業省から事情聴取を受けて27円安だった。

 LINEがSEC(証券取引委員会)にNY証券取引所での上場を申請と報じられ、日米同時上場の可能性が高まった。LINE関連はエイチーム<3662>が110円高と反応したがアドウェイズ<2489>は33円安。新興市場は日経ジャスダック平均は0.48%下落、東証マザーズ指数は0.08%上昇。割安通信関連の日本通信<9424>はNTTドコモに音声通信の相互接続を申し入れたと発表し49円高。IT系法務サービスのUBIC<2158>は7円高で年初来高値更新。エムティーアイ<9438>は日経新聞朝刊のインタビュー記事で前多俊宏社長が「16年9月期に営業益50億円」と見通しを示しストップ高の150円高で年初来高値更新。音楽配信や健康情報の提供などスマホ向けサービスの有料会員数が増え収益力が向上しているという。ネット広告のUNITED<2497>は今期の通期営業利益が3.5倍の5億円程度という見通しを出し45円高だった。

 この日の主役は前日大引け後に4~6月期決算を発表した安川電機。4月の3月期本決算発表の際は「好決算でも市場予測に届かなければ情け無用の売り。アナリストはマーケットの絶対支配者なのか?」と論議を呼んだことでも注目された。第1四半期はスマホや自動車向け需要が旺盛で純利益は32%増。市場予測を上回り58円高で5日続伸し値上がり率14位、売買代金13位。4~9月期の営業利益見通しも20億円上方修正して2.9%増の130億円でこれも市場予測を超え、文句つけようなし。通期見通しは据え置いた。同時に子会社を通じアメリカの太陽光発電用パワーコンディショナーメーカー、ソレクトリア社を買収すると発表したことも買い材料になった。3月期決算銘柄の大手一番手の安川電機が好結果を残したことで、夏の決算発表シーズンは幸先の良いスタートを切った。(編集担当:寺尾淳)