【日経平均】NY市場「天井崩れ」でも154円安で踏ん張る

2014年07月18日 20:28

 17日のNYダウは161ドル安。NASDAQ総合指数は62ポイント下落。住宅着工件数前月比9.3%減を受けて安く始まり、好決算期待ですぐプラスに戻したが、午後、マレーシア航空の295人乗りの旅客機がウクライナ上空で撃墜されたという速報が入った。さらにイスラエル地上軍がパレスチナ自治区のガザに進攻。一寸先は闇。突然、何が起こるかわからない。地政学的リスク再発でユーロは急落し、NYダウも時間の経過とともに下げ足を速め17000ドルを割り込んだ。最大1.8万人の人員削減を発表したマイクロソフトはリストラ好感で1.02%上昇。首切りを喜ぶからウォール街も兜町も人の恨みを買って「株屋」と蔑まれる。決算内容が悪いサンディスクは13.6%も下落。墜落機は777でボーイングは1.2%下落した。18日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が136円台後半とリスク回避で円が買われた。

 「ゴルディロックス」などと言われながら10台で低迷していたVIX指数(恐怖指数)が突然14.54にはね上がる思いもよらぬ出来事で、ついにやってきたアメリカ株の「天井崩れ」。CME先物清算値は15255円。下落時だけ限定でレバレッジつきで日米連動し「アメリカがくしゃみをすると肺炎で入院する」日経平均は、5日移動平均も25日移動平均も一気に割り込み、大マドを空けて下落し196.18円安の15174.08円で始まる。TOPIXも大幅安。午前9時8分には15118円まで、9時33分には15110円まで下落し、ボロボロになりそうな予感。しかし11日の「まぼろしのSQ値」15084円に接近することなく折り返し、9時50分頃からはおおむね15150~15180円のレンジで動く。前週に9週間ぶりに買い越した個人の押し目買い意欲なのかETF買い入れの日銀砲や年金の買いが入ったのか、上海や香港が大幅安で始まっても動じず、小動きは11時台まで続く。前場の終盤に15200円を超えて15208円まで上昇し、前引けは15202円だった。

 午前中に毎月勤労統計調査の確報値が発表され、速報値では0.2%上昇していた5月の所定内給与が横ばいに下方修正された。後場は15200円をはさんだ値動きで始まり午後0時48分に15220円まで上がるものの、押し戻されて15200円を割る。それでもおおむね15180~15200円のレンジの値動きをずっと維持する。2時30分に6月の百貨店売上高が発表され、既存店ベースは全国4.6%減、東京地区では4.1%減。どちらも4月から3ヵ月連続で前年比でマイナス。ウクライナもパレスチナも3連休後まで事の成り行きの様子見なのか、日経平均が15190円付近で動かない状況が終盤まで続き、「利益確定売りの金曜日」で最後に売られるかと思えば逆に上昇して15200円を超え、終値は154.55円安の15215.71円で2勝3敗、前週末11日終値から51.67円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は110円。NY市場天井崩れで15000円の大台割れも覚悟だったが、東京市場は下値15110円まででよく踏ん張っていた。TOPIXは-10.09の1263.29で日経平均とともに3日続落。売買高は18億株、売買代金は1兆5943億円で薄商いはなお続いている。

 東証1部の値上がり銘柄は289、値下がり銘柄は1427で全体の78%を占めた。33業種別騰落率は2業種が上昇、31業種が下落。プラス業種は鉱業、陸運。マイナス業種でマイナス幅が小さい業種は建設、情報・通信、水産・農林、海運など。大きい業種は倉庫、保険、精密機器、ガラス・土石、証券、パルプ・紙などだった。

 日経平均225種は値上がり15銘柄、値下がり206銘柄。プラス寄与度1位は中外製薬<4519>で+3円、2位は安川電機<6506>で+2円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-20円、2位は東京エレクトロン<8035>で-5円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>1円安、三菱UFJ<8306>6円安、三井住友FG<8316>51円安。野村HD<8604>も6円安だった。リコーリース<8566>は野村證券が新規に「バイ」をつけ175円高で3日ぶりに反発し値上がり率8位に入った。

 リスクオフの円高進行で自動車、電機は不利。トヨタ<7203>は43円安、ホンダ<7267>は32円安、マツダ<7261>は7円安。日産<7201>はイングランド・プレミアリーグで優勝したマンチェスター・シティと5年間のスポンサー契約を締結したが5円安。日立<6501>は8円安。東芝<6502>は2円安、NEC<6701>は6円安。ソニー<6758>はウエアラブル端末で決済する「小型フェリカ」を開発したニュースがあったが8円安。シャープ<6753>はヨーロッパの太陽光発電事業で143億円の特別損失を計上し4~6月期で4年連続の最終赤字という業績観測報道が出て売買高6位で7円安。それでも逆行高したのが富士通<6702>で、半導体生産から撤退し三重工場を台湾企業に、会津若松工場をアメリカ企業に売却する計画が伝わり14円高で年初来高値更新。また人の恨みを買ってしまう。

 通信大手はNTT<9432>6円安、NTTドコモ<9437>4円安。KDDI<9433>62円安、ソフトバンク<9984>23円安。値下がり率1位は33円安のダイジェット工業<6138>。今週は値上がり率1位3回、値下がり率1位2回で「毎日1位」の珍記録を樹立した。世界で地政学的リスクが高まれば買われるのが石川製作所<6208>や豊和工業<6203>など防衛関連銘柄。石川製作所は前週から水素、電線、低位建設と回った短期資金を集めて5円高で年初来高値を更新し値上がり率16位。豊和工業は3円高だった。