NHK元職員ら会長への辞任勧告を経営委に要請

2014年07月20日 09:56

 「政府が右というのを左とは言えない」など就任時の記者会見での籾井勝人会長の発言はNHKの基本的性格の理解を欠くとして、元NHKアナウンサー室長の山根基世さんらアナウンサーやニュースキャスター、プロデューサーを務めた退職者172人がNHKの経営委員会に対し、籾井会長に辞任勧告を行うよう求めている。応じない場合、罷免するようにとも求めた。経営委員会の対応が注目される。

 辞任勧告の理由として政府支持の姿勢を公的に発言した人物がNHKのトップに座り続けているのは異常で一刻も早く解消する必要があるとしているほか、慰安婦問題で「戦争している国にはどこにもあった」などは日本の歴史を偽造するもの、国内外で取材現場に影響がでている、受信料の凍結や留保が広がっているなどをあげている。

 籾井会長は就任時にNHKの理事全員から日付欄が空白の辞表を入手するなど、国会でも諸々問題が取り上げられ、辞表については公になって後、理事に戻している。今年3月12日の参院予算員会では、民主党の小川敏夫議員が「本来、理事を罷免するためには経営委員会の判断を得なければいけないところ、籾井会長は理事からあらかじめ辞表をとって、経営委員会の判断なしにクビにできる状態をつくった。これは放送法違反だ」などと問題を追及していた。

 慰安婦問題については1月29日の参院本会議で民主党の神本美恵子議員が「どこの国にもあったとする発言は無知を曝け出すもの。国家が主導した戦時性奴隷制度は類似なものがあったとされるドイツ以外に確認されているのは日本だけ」と強く批判し、「何の根拠もない持論を、公の電波で展開し、再び被害者を傷つけたことは本当に許せない。籾井会長は即刻辞任すべき」などと辞任を求めていた。

 この時、安倍総理は目を瞑り、腕組みして質問を聴き、答弁では「放送機関のトップが行った個別の発言について政府としてコメントすべきでない」と見解を避けたうえで「籾井会長はじめNHK職員のみなさんには、いかなる政治的圧力に屈することなく中立公平な放送を続けてほしいと願う」と答弁していた。

 しかし、籾井会長は就任時から「政府が右というのを左とは言えない」と報道機関トップに相応しくない考えを記者会見で語っており、政府の問題をどこまで追及できるのか、報道機関としての姿勢に疑問を持たせている。(編集担当:森高龍二)