NHKがこのほど公表した「第9回 日本人の意識」調査によると、この10年で人々のメディア接触のあり方が大きく変化していることが分かった。ふだんの生活の中で欠かせないコミュニケーション行動として、「携帯電話・スマートフォンを使う」と「インターネットの利用」が激増する一方、「本を読む」ことを挙げる人も初めて増えた。
調査は、NHKが日本人の生活や意識の変化を探るため、73年から5年ごとに実施している。9回目となる今回は、全国の16歳以上の国民5400人が対象。方法は個人面接で、有効数は3070人(56.9%)だった。
「ふだんの生活の中で欠かせないコミュニケーション行動」として最も多いのは、相変わらず「テレビを見る」(81%)、同率で「新聞を読む」(63%)、「友人と話をする」(63%)。以下、「携帯電話・スマートフォンを使う」(56%)、「インターネットを利用する」(38%)、「本を読む」(36%)の順となっている。
03年から13年の変化をみると、多くの人にとって「テレビ、新聞、友人との会話」が欠かせないのは変わらないが、いずれも減少傾向にある。テレビは10年前から-4ポイント、新聞は-10ポイント、「友人との会話」も-5ポイントと減らした。その代わり、「携帯電話・スマートフォンを使う」は39%から56%へ激増、「インターネットを利用する」を挙げた人も、20%から38%へと倍増している。興味深いのは、「本を読む」人も1ポイント増えていることだ。
今や情報収集にはネットが欠かせないものとなり、若者を中心に「活字離れ」が批判されるようになった。新聞を読む人も減っている。ただ、「読書」を楽しむ層は一定割合いるようだ。「本が売れなくなった」とも言われるが、近年、売上が急落しているのは主に「雑誌」、中でも「週刊誌」の減少幅が最も大きい。ネットに取って代わられたのは雑誌や週刊誌が提供していた情報で、一般書は辛うじてその地位を守っているのかもしれない。(編集担当:北条かや)