政府の景気判断は個人消費の回復で上げに転ずるも、設備投資・輸出ともに低迷

2014年07月21日 19:21

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国内消費需要はリテラー各社の踏ん張りで、消費増税の一時的な落ち込みから回復にある。だが、設備投資や輸出が足踏み状態で停滞傾向から抜け出していない

 先般、日本国内の新車販売状況をみると、「消費増税の影響は微少で、2014年上半期自動車販売は比較的平穏。軽自動車の圧倒的な需要が際立つ」と報告した。こうした景気判断は自動車販売だけでなく、国内個人消費全般に言えるようだ。

 7月の月例経済報告をまとめた政府発表によると、4月の消費増税直後と比べ、個人消費の落ち込みが和らいだという。結果、6カ月ぶりに景気基調判断を引き上げた

 甘利明経済財政・再生相は記者会見で、「駆け込み需要後の反動による消費減は、底を打った。収束しつつあるのではないか」と語った。4月の消費減以上の買い控えなどは無く、個人消費は持ち直し、底堅いとの判断を示した。こうした判断を受けて政府は7月の月例報告で景気判断を引き上げたわけだ。

 内閣府の資産による5月の小売業販売額は、前月比104.6%。4月に落ち込んだエアコンや冷蔵庫などの大型家電も持ち直しつつあると発表した。

 甘利明経済財政・再生相は増税後の消費減が底を打ったとする判断に至った理由を「雇用環境は良好で、賃金が上がることで好環境となった」と説明。多くの経済専門メディアやアナリストも4月の消費減から立ち直りつつあるとの見方で一致している。

 こうした判断を背景に、3月までの駆け込み需要で、4月の個人消費は確かに落ちたものの、買い控え傾向は一巡したというのが政府の見方だ。しかしながら、消費増税以前の2013年のような強い回復基調にあるかは、意見が分かれるところだ。

 なかでも、やや心配なのが月例報告で企業の設備投資が下方修正となった点だ。日銀の観測によれば、2014年度の設備投資は一定の伸びを見込んでいた。ところが、今回の報告では産業機器などの受注に力強さがないという。原因は輸出が伸びないことにありそうだ。5月は15カ月ぶりに前年割れを記録した。

 輸出相手先国として大きな消費パワーを持つアメリカ経済は、「設備投資や自動車販売の増加など、景気回復局面にある」というが、日本の自動車メーカーは、ほぼ米現地生産に切り替えが終了している。輸出に自動車が直接貢献するのは難しい状況だ。

 どうやら、第3四半期以降も国内の景気浮沈は、個人消費が鍵を握っているといえそうな気配だ。(編集担当:吉田恒)