ヤマハ製の小さな部品がレクサスNXの運動性能を大きく引き上げる

2014年07月31日 08:33

Yamaha_PD

LEXUS NX F SPORTのフロントサス取付部を繋ぐヤマハ製パフォーマンスダンパー(写真の青いパーツ)

 ヤマハ発動機が開発したクルマの車体制振ダンパー「パフォーマンスダンパー」が、7月29日に発表されたLEXUSのクロスオーバーSUV「LEXUS NX F SPORT」に採用されていた。

 パフォーマンスダンパーは、乗用車の前後サスペンション取付部に設置する車体制振ダンパーで、走行中の車体のごくわずかな変形や振動を穏やかに整え吸収するための装置です。2000 年に基本概念を発案後、2004年4月に量産品として初めて採用された。以降、さまざまな車種においてコーナリングパフォーマンスや快適性の向上に寄与するパーツだ。

 パフォーマンスダンパーは、ヤマハ発動機によって開発された新しい車体性能を向上させる部品だ。2000年に特許出願され、2001年には世界初の車体技術として、乗用車の少量限定車に装備された。PDは、それまでの「走り」の基準を越える安定感と運動性能を向上させるだけではなく、乗り心地の上質化まで実現する。

 ボディの性能向上させるために、従来技術である「ボディ剛性最適化」に加え、「車体粘性の積極的付加」という思想から出来たパーツである。

 普通、クルマのボディモノコックは走行時に1mm以下のごく僅かな変形が生まれる。弾性体である金属製ボディは変形に対する減衰性が低い。外力による変形エネルギーは、そのまま蓄積・放出され、固有振動数で変形を繰り返す。
パフォーマンスダンパーはボディへの減衰要素を付加することで、車体の変形エネルギーを吸収し、ボディの過大な変形速度を抑制して、通常走行時における操縦安定性と快適性を与えるパーツだ。また、大きな車体変形を伴う高速走行時においても高い運動性能と操安性を両立させることが可能だ。

 写真を見れば分かるように、フロントストラットの頂点を繋ぐストラットタワーバーのような部品がパフォーマンスダンパー。タワーバーがサスペンションの剛性をアップさせ、ハンドリングなどの運動性能向上に寄与するパーツとしてスポーツカーなどに採用される例が多いのはご存じのとおり。

 パフォーマンスダンパーはそのタワーバーに歪みを減衰するショックアブソーバー(ダンパー)の機能を付加した製品と考えれば分かりやすい。

 「LEXUS NX F SPORT」には、リヤ側のサス取り付け部にもパフォーマンスダンパーを装着し、ボディ&サス剛性の向上やハンドリング性能アップなどに貢献しているという。

 ヤマハ製パフォーマンスダンパーがレクサス車に装着されるのは、CT、RX、HSに次いで4例目となる。(編集担当:吉田恒)