2012年冬モデルに見るプリンタのトレンドとは

2012年12月21日 14:39

 2012年冬モデルのプリンタは“Wi-Fi”“コンパクト”“両面印刷”がトレンドとなっている。

 年賀状シーズンを直前に控えた11月には最新モデルが出揃った家庭用プリンタ市場。すでに市場は終盤になっているが、今冬のインクジェットタイプ複合機のメーカー主力モデルには“Wi-Fi”機能は標準搭載が当たり前になってきた。それによって、置き場所を選ばなくなったプリンタは、スタイリッシュなフォルムを必要とされるようになり、“コンパクト設計”が求められるようになった。さらに、エコロジー志向の影響もあり、“自動両面印刷”に対応する機種もトレンドとなり、これらを満たす機種が各社からは出てきた。

 エプソンの家庭用複合機タイプの主力機種はカラリオシリーズ「EP-805」。この機種は従来機よりも約40%サイズをコンパクト化することに成功しており、これによって、リビングボードなどにも配置が可能となった。カラー展開が3色(ブラック・レッド・ホワイト)で、部屋に合わせたチョイスも可能だ。他にも特徴として、給紙がフロント2WAY+リアという3通りの給紙で、ハガキとプリント用紙を別々に収納でき、さらに厚手タイプの用紙を背面から給紙することができる。もうひとつトレンドになりつつある、タッチパネルのフリック操作化も採用している。

 エプソンと激しいシェア争いを展開するキヤノンの主力機種はPIXUS「MG6330」。こちらは、高さを約25mm薄くしたロースタイルと、ブラック・ホワイトに加え、黒を基調としたグリーン・ブルー・パープルをそれぞれミックスさせた5色展開が特徴だ。こちらもエプソンの 「EP-805」同様、部屋や家具とのバランスを考慮した機種だ。タッチパネルはフリック操作が可能で、さらに大容量タイプのインクの使用が可能になったことで、印刷コストを下げている(同社調べ)。

 エプソン、キヤノンのトップ2に対し、台風の目という存在になっているのはブラザーのプリビオネオシリーズ「DCP-J4210N」だ。この機種は前述の2機種に比べ奥行きが290mmで最も小さく、他にはないA3プリント(手差し)ができるのが特徴だ。タッチパネルに関しては、こちらもフリック操作が可能だ。

 最後に日本ヒューレット・パッカード(HP)のPhotosmartシリーズの「5520」だが、こちらは“Wi-Fi”“コンパクト”“両面印刷”というトレンドタイプで、その最大の特徴はコストパフォーマンスに優れているところだ。前述の3機種は市場価格が1万円台後半~2万円台なのに対し、メーカーでの直販では1万円を切った価格になっている。

 携帯電話にカメラ機能が付いて以来、そのトレンドにいち早く対応することで、進化を続けてきた家庭用のプリンタ市場。機能の差がない所からも特徴付けに苦労している所が伺えるが、複合機が主流になった今、ビジネスユースとの境目さえも分からなくなってきている。市場を制するには他社が手を付けなかった部分に目を向け、差別化を図るかしかない。今後は他の家電との連携も含め、その進化を携帯電話頼みという思考を変えていかねばならないだろう。(編集担当:加藤隆文)