集団的自衛権の懸念に耳傾けよ 政府に長崎市長

2014年08月09日 16:48

 長崎県の田上富久市長は9日開いた長崎市平和祈念式典での平和宣言で集団的自衛権について触れ「被爆者たちが自らの体験を語ることで伝え続けてきた、その平和の原点がいま揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が、急ぐ議論の中で生まれている」と強い懸念を示した。

 田上市長は、その不安と懸念の声を踏まえ「日本政府には、この不安と懸念の声に、真摯に向き合い、耳を傾けることを強く求めます」と参列している安倍総理ら、政府に求めた。

 田上市長は「長崎はノーモア・ナガサキとともにノーモア・ウオーと叫び続けてきた。憲法に込められた戦争をしないという誓いは、被爆国日本の原点であるとともに、被爆地・長崎の原点でもある」と平和国家への思いを強くアピールした。

 また田上市長は平和宣言の中で「今も世界には1万6000発以上の核弾頭が存在する。核兵器の恐ろしさを知る被爆者は核兵器は二度と使われてはならないと必死で警鐘を鳴らし続けてきた。メキシコで開かれた核兵器の非人道性に関する国際会議ではもし核戦争になれば、傷ついた人々を助けることもできず、核の冬の到来で食糧がなくなり、世界の20億人以上が飢餓状態に陥るという恐るべき予測が発表された」などをあげ、「核兵器の恐怖は決して過去の広島、長崎だけのものではない。世界がかかえる今と未来の問題」と核廃絶への取り組みをさらに進めていかなければならないと強く呼びかけた。(編集担当:森高龍二)