外務省がエボラ出血熱の西アフリカ地域での感染者増加を踏まえ、10日までにギニア、リベリア、シエラレオネの3か国への渡航について「不要不急の渡航を延期するよう」感染症危険情報を出した。「一旦入国しても商業便の運航停止などにより出国できなくなる可能性があることにも留意するよう」呼びかけている。
また、これらの国にいる邦人については「帰国に際しては経由地及び日本国内の空港等で停留される可能性があるので留意してほしい。商業便の運航停止などにより出国できなくなる可能性及び現地で十分な医療が受けられなくなる可能性があるので早めの退避を検討するよう」に求めている。
3か国のエボラ出血熱感染者数はWHO発表(8月4日現在)で感染者数1711人(感染確定1070人、可能性例436人、疑い例205人、ナイジェリアの可能性例2人、疑い例7人を含む)。うち932人が死亡している。
外務省は「今後も感染拡大の可能性が指摘されており、一部国際フライトの運行停止がなされる中、移動の制限や様々な規制措置が強化される可能性がある」として、渡航延期を求めている。
田村憲久厚生労働大臣が5日の記者会見で示した数値では感染者は「WHO発表1日現在で1603人(うち死亡者887人)という情報が入ってきている」としていたので、わずか3日間で感染者が98人増え、45人が亡くなったことになる。
田村大臣は「我が国への入国者という意味からは入国時にサーモグラフィー等々で体温確認し、本人に申告いただき、体調が悪い方々や感染の疑いのある方々に対してしっかりと対応していく体制を整備している」とした。そのうえで、「WHO等々の関連機関としっかり連携してエボラ出血熱の対応をこれからも進めていく」としている。
田村大臣は「エボラ出血熱は飛沫感染というのはしないが、体液等々の濃密な交わりによって感染するので、そういう意味では濃厚接触等々をするとうつるということ。飛沫で感染するというのはかなりの飛沫を浴びないと感染しないということもあるので感染に対するリスクというものをしっかりとそれぞれで勘案いただきたい」とも語った。
外務省では「エボラ出血熱はエボラウイルスが引き起こす致死率が非常に高い極めて危険な感染症で、患者の血液、分泌物、排泄物などに直接触れた際、皮膚の傷口などからウイルスが侵入することで感染する。感染の拡大は家族や医療従事者が患者を看護する際、あるいは葬儀の際に遺体に接する際に引き起こされることが報告されている」としている。
また「予防のためのワクチンは存在せず、治療は対症療法のみ。潜伏期間は2日から21日(通常は7日程度)で発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・食欲不振などに始まり、嘔吐・下痢・腹痛などの症状があり、悪化すると皮膚や口腔・鼻腔・消化管など全身に出血傾向がみられ、死に至る」と説明。
また「エボラウイルスの感染力は必ずしも強くないため、アルコール消毒や石けんなどを使用し十分な手洗いを行うとともに、エボラ出血熱の患者(疑い含む)・遺体・血液・嘔吐物・体液に直接触れないようにすることが重要」と呼びかけている。(編集担当:森高龍二)