【日経平均】薄商いのスキを先物売りに突かれても30円高

2014年08月12日 20:14

 7月の首都圏マンション発売戸数が発表され、前年同月比20.4%減で6ヵ月連続の減少と供給減が続く。しかし人気の地区では発売即日完売も珍しくないという。消費増税による戸建て住宅の苦戦が半年前に始まってそろそろ1年の飯田GHD<3291>は後場買い直され112円高で値上がり率8位だった。通信工事のコムシスHD<1721>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ65円高。大成建設<1801>も三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて12円高だった。

 新日鉄住金<5401>は前日、インドネシア国営クラカタウ・スチールとの共同の新工場建設に合意と発表し売買高6位で2.5円高。自動車用鋼板を生産し日本メーカーの現地工場に供給する。他の高炉大手は、神戸製鋼<5406>は売買高10位で2円高、JFEHD<5411>は12.5円高だった。日本ガイシはクレディスイスが目標株価を引き上げて92円高。ガラス・土石セクターは業種別騰落率トップになっていた。

 テルモ<4543>はみずほ証券が目標株価を引き上げ34円高。後発医薬品の日医工<4541>は前日に4~6月期決算を発表し、営業利益17.2%増で野村證券が目標株価を引き上げ123円高で値上がり率4位。薬価引き下げは「後発医薬品殺し」と言われ株式市場でのテーマ物色を終わらせたが、政府の利用促進策が業績に貢献していた。ドラッグストアやスーパーやコンビニの店頭で3000円程度で指先から採血して手軽に血液検査ができると新聞で紹介された。記事に出ていたウエルシアHD<3141>は80円高、ダイエー<8263>は1円高、ファミリーマート<8028>は20円高だった。

 味付き牛モツ「こてっちゃん」のSFOODS<2292>は2月期通期の営業利益見通しを6億円上方修正し102円高で年初来高値を更新し値上がり率13位。江崎グリコ<2206>からグリコハムを1月に買収した効果が出ていた。三井物産<8031>はブラジル最大の穀物生産会社SLCアグリコラとの合弁会社SLC-MITで大豆やトウモロコシの農地、生産量を2倍に増やすと報じられ売買代金10位に入り29円高で年初来高値更新。輸出先は中国。住友商事<8053>はマレーシアの肥料製造販売会社ユニオンハーベストエム株の保有比率を20%から60%に増やして子会社化。パーム油(植物油)を取るアブラヤシ栽培用肥料を生産する新工場を2016年をめどに稼働させると報じられ14円高だった。

 技術者派遣のUTHD<2146>は4~6月期の営業利益が3.4倍で3億円程度という業績観測記事が出て10円高。病院建設コンサルティングのシップヘルスケアHD<3360>は、バングラデシュの首都ダッカで現地企業と組み大規模病院を改築して先端医療機器などを導入する構想が報じられ15円高。アジアの新興国で富裕層の高度医療ニーズに応える。物流の山九<9065>はみずほ証券が目標株価を引き上げて10円高。アサツーDK<9747>は1~6月期決算の経常利益が17%増の39億円で減益見通しをいい方に裏切り39円高。放送のスポット広告が好調という。オリエンタルランド<4661>は315円高と大きく上昇した。

 アニメ「妖怪ウォッチ」放映中のテレビ東京HD<9413>は4~6月の視聴率が2%アップし広告収入が好調。三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ130円高で年初来高値を更新し値上がり率9位に入った。しかしハピネット<7552>は4~6月期の営業利益が37.6%増でも通期見通しを上方修正しないのがたたり売買代金8位の売り浴びせで271円安でなんと値下がり率1位。妖怪ウォッチが社会現象化したので、慎重な業績見通しを出せば「大儲けしているはずなのに出し惜しみか」と疑われてしまう。でも人気商売は一寸先は闇。バンダイナムコHD<7832>は売買代金15位で69円高だった。新興市場は日経ジャスダック平均は0.15%下落したが、東証マザーズ指数は1.12%上昇していた。

 この日の主役はコロプラ<3668>とゲーム関連銘柄の愉快な仲間たち。コロプラは「魔法使いと黒猫のウィズ」関連商品の提供、「魔女のニーナとツチクレの戦士」のiOS版の配信開始を発表。魔女の魔法が効いたのか株価は355円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。売買高は3位で、売買代金1728億円はソフトバンクの468億円の約3.7倍でダントツの1位だった。

 薄商いをよそにゲーム関連は連日の大にぎわい。ミクシィ<2121>は前日比例配分で買いをさばき切れなかった上に、LINEとのスマホゲームの共同企画で「モンスターストライク」と「LINE POP」のキャラクターの相互乗り入れを発表したり、楽天証券が目標株価を引き上げたこともあり連日のストップ高比例配分の1000円高。もう、どうにもとまらない。LINE関連でもあるマーベラス<7844>は後場から大幅高の113円高で値上がり率2位に滑り込み、売買高7位、売買代金3位。恋愛ゲームが全地球的規模で女子に支持されるボルテージ<3639>は122円高で値上がり率5位。「ラブライブ!」のKlab<3656>は151円高で値上がり率7位、売買代金5位。グリー<3632>も13円高だった。このところ低調だったガンホー<3765>も一時ストップ高で42円高、DeNA<2432>も61円高で値上がり率17位と「出遅れ物色」されていた。(編集担当:寺尾淳)