5日のNYダウは反落して139ドル安で16500ドルを割り込んで終了。NASDAQは31ポイント安。下落要因はひとえにウクライナ情勢で、ロシアのプーチン大統領がアメリカとEUの経済制裁に対抗措置を取るよう指示したと述べたほか、ポーランドのシコルスキー外相が「ロシアがウクライナ侵攻を準備」と恐ろしいことを口にしたのも地政学的リスク懸念を高め、ISM非製造業景況指数や製造業受注が市場予測を上回っても押し流した。コーチ(COACH)は決算内容が市場予測を上回り4.3%上昇。決算で純利益65%減だったモトローラは4.2%下落。原油安でエクソンモービルは1.9%、シェブロンは2.5%それぞれ下落した。6日朝方の為替レートはドル円が102円台後半、ユーロ円が137円台前半で、ユーロが安くなっていた。
CME先物清算値は15230円。「荒れるSQ週の水曜日」の日経平均は60.31円安の15260.00円で始まる。TOPIXも下落スタート。午前9時台は9時44分に15271円まで戻す場面もあったが、10時を回ると例によって先物主導で15200円近辺まで下げて1時間ほどもみあった後、11時17分に15145円まで下落する。上海市場も香港市場も軟調。前引けは15167円だった。
後場は15144円と安値を更新して始まり、おおむね15150~15190円の範囲で低位安定。午後2時にかけてだんだん振幅が小さくなり15160円近辺で小動きする。2時に内閣府から6月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は5月から1.8ポイント低下、先行指数は0.7ポイント上昇。基調判断は「足踏みを示している」に据え置いた。ほぼ市場予測の範囲内だが日経平均は下落で反応し2時4分に15121円のこの日の安値をマーク。7月の「まぼろしのSQ値」15084円まであと37円に迫るが、20分ほどで15150円付近まで戻る。2時30分すぎから終盤は上昇するが、前場割り込んだ15200円台は回復できない。8月は前月比12億円増の156億円にパワーアップして3日連射したETF買い入れの「日銀砲」の効果むなしく、終値は160.52円安の15159.79円で5日続落。これは全敗の7月第2週以来でアベノミクス相場になってから2回目。日中値幅は150円。TOPIXは-12.24の1251.29。売買高は21億株、売買代金は2兆357億円でどちらも大台を回復していた。
値上がり銘柄は265、値下がり銘柄は1476で全体の81%を占めた。業種別では値上がりは1業種、値下がりは32業種。プラスはその他製品。マイナス幅が小さいのは精密、水産・農林、建設、機械、卸売など。大きいのは鉱業、鉄鋼、電気・ガス、情報・通信、パルプ・紙、不動産などだった。
日経平均採用225種は値上がり22銘柄、値下がり199銘柄。プラス寄与度1位はクボタ<6326>で+4円、2位は大日本スクリーン製造<7735>で+1円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-29円、2位はダイキン工業<6367>で-12円だった。
メガバンクは2日連続3行全て下落し、野村HD<8604>は10.4円安。トヨタ<7203>は前日大引け後に4~6月期決算を発表した。売上高は2%増の6兆3906億円、営業利益は4%増の6927億円、純利益は6%増の5877億円で利益項目は全て四半期ベース過去最高を更新し市場予測を上回った。世界販売台数は224万台。国内は消費増税後の反動減で3.8%減だったが、海外が絶好調の北米を中心に1.7%増で補った。通期業績予想は据え置き。株価は高く始まったが終値は53円安だった。ホンダ<7267>は26.5円安。
ジャパンディスプレイ<6740>、ソニー<6758>、パナソニック<6752>が2015年1月に設立する有機ELパネル開発会社JOLEDが2018年にタブレット端末用中型パネルの量産に入ると報じられた。しかしジャパンディスプレイは19円安、ソニーは37円安、パナソニックは10円安。シャープ<6753>は5円安、日立<6501>は9.1円安、東芝<6502>は0.8円安、NEC<6701>は1円高、富士通<6702>は14.6円安だった。
パイオニア<6773>は4~6月期で20億円の最終赤字を計上して9円安。大日本スクリーン製造の4~6月期の営業利益は1%増で、営業利益の中間期、通期の見通しをそれぞれ12億円上方修正。JPモルガンがレーティングを引き上げ49円高で値上がり率5位に入った。検体検査用機器・試薬のシスメックス<6869>は4~6月期の営業利益は83%増、経常利益は68%増と好調で、野村證券が目標株価を引き上げ375円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。マブチモーター<6592>は12月期通期の営業利益見通しを113億円から149億円に大幅上方修正し、中間期と期末の配当予想を70円から83円に引き上げて260円高で年初来高値を更新した。
総務省が市場支配力は低下したと判断しNTTドコモ<9437>に適用している独占規制を見直す電気通信事業法改正案を次の通常国会に提出する方針を示したがNTTドコモは27円安。NTTグループ以外との業務提携を原則自由とする。自動車メーカーや小売業との提携話が出てきそうだ。
日本政策投資銀行が大企業の設備投資計画調査を発表。2014年度の全産業の国内設備投資は17兆7102億円で前年度比15.1%増で3年連続増加の見通し。しかしファナック<6954>は80円安、安川電機<6506>は17円安、キーエンス<6861>は480円安など関連銘柄はふるわなかった。クボタは4~6月期決算の営業利益が11.3%増の524億円で市場予測より100億円も多いポジティブサプライズで売買代金9位に入り115円高で値上がり率7位。野村證券が「バイ」継続で目標株価を引き上げていた。
川内原発1、2号機が再稼働審査中の九州電力<9508>は、合格に必要な工事計画の補正申請が予定より遅れて9月になると明らかにして46円安。再稼動は最短でも今冬以後。太陽光発電のサニックス<4651>は4~9月中間期の営業利益を下方修正しストップ安比例配分の300円安で値下がり率1位。出光興産<5019>は4~6月期の営業利益が61.5%増、経常利益が47%増と好調で172円高で値上がり率8位。コスモ石油<5007>、昭和シェル石油<5002>、東燃ゼネラル石油<5012>、住友商事<8053>はLPガス元売り事業で統合会社発足に向け契約締結と発表。しかしコスモ石油は8円安、昭和シェル石油は81円安で値下がり率16位、東燃ゼネラル石油は2円安、住友商事<8053>は18円安だった。