週明け11日のNYダウは16ドル高と続伸。NASDAQも30ポイント上昇。地政学的リスクはイスラエルとハマスの停戦協議再開でやや好転しヨーロッパ市場は反発。フィッシャーFRB副議長が2008年以後の世界経済の回復に「期待外れの点がある」と発言すれば利上げが遠のく〃好材料〃視された。子どもが先生の期待を裏切ると親が喜ぶ? 死者が1000人を超えたエボラ出血熱関連のテクミラは14.9%上昇で続伸。決算が好感されてプライスラインは2.16%、テスラ・モーターズは4.51%上昇。12日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は136円台後半で、前日からあまり動かなかった。
CME先物清算値は15145円。取引時間前に7月の企業物価指数が発表され、6月比で0.3ポイント減速し4.3%の伸びだった。日経平均は34.21円高の15164.73円で始まる。TOPIXもプラス。午前9時15分に15147円で底を打った後、為替の円安を伴った先物主導の上昇が始まり15200円を突破して9時37分に15226円まで上がる。10時6分には15235円をマークし、7日終値の15232円を上回り8日に454円下落した全値戻しを2日目で達成。TOPIXも全値戻しを達成した。「達成感」が出たのか下落するが、上海、香港市場はマイナスで始まったものの15170円近辺で下げ止まる。その後は15180円前後でもみあい、前引けは15178円だった。
後場は15184円で再開するが、午後0時台のうちに15146円まで下落する。足を引っ張ったのはマイナス圏のファーストリテイリング<9983>の下げ幅拡大。1時すぎに15180円付近まで戻すが、1時25分、前場と逆に為替の円高を伴った先物主導の下落でマイナスに転落し15125円まで下げた。お盆間近で市場参加者が少ないので、仕掛けられたらアッという間に下落する。それでもすぐプラスに戻して値を小刻みに上げていくが15200円は遠い。1時30分に発表された6月の鉱工業生産指数確報値は速報値より悪化し前月比3.4%の低下だった。薄商いの上に今週最大の国内経済指標である4~6月期GDPの発表前日なので買い控えムードにも支配されてそのまま大引け。先物売りに何度も脅かされながら30.79円高の15161.31円の続伸で終えることができた。日中値幅は110円。TOPIXは終始プラスを維持して+5.18の1257.69。売買高は16億株、売買代金は1兆6180億円で、前日よりもさらに薄商いだった。
値上がり銘柄は1017で全体の55%。値下がり銘柄は662。30業種が上昇し3業種が下落した。プラスセクターの上位はガラス・土石、精密機器、電気・ガス、卸売、医薬品、陸運など。下位は食料品、機械、不動産など。マイナスのセクターは情報・通信、その他金融、繊維だった。
日経平均採用225種は値上がり139銘柄、値下がり76銘柄。プラス寄与度1位は日本ガイシ<5333>、2位はファナック<6954>でともに+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリングで-8円、2位はKDDI<9433>で-6円だった。
メガバンクはみずほ<8411>0.6円高、三菱UFJ<8306>6.3円高、三井住友FG<8316>12円高と揃って続伸。野村HD<8604>は0.6円安。自動車大手はトヨタ<7203>50円高、ホンダ<7267>0.5円安など高安まちまち。「自動車と住宅」への選択と集中を進めるパナソニック<6752>は、運命を左右する存在とも言える提携先テスラ・モーターズの決算が良く株価が上昇したのを受けて6.5円高。シャープ<6753>は2円安だった。
携帯キャリア大手がユーザーの囲い込みに使う料金の「2年縛りルール」について総務省が11月に新方針を出すという報道があり、NTTドコモ<9437>はかろうじて1円高、KDDIは85円安、ソフトバンク<9984>は27円安。NTT<9432>も売買代金14位ながら54円安になるなど、この日の情報・通信セクターは業種別騰落率最下位に沈んだ。
1円高だった東京電力<9501>は2016年4月に予定する持株会社移行時に「水力・再生可能エネルギー」部門も分社する方針を固めたと報じられた。「燃料・火力」「送配電」「電力小売」の子会社とともに4社体制になる。水力、太陽光、風力発電などに独立採算制を導入し成長部門に育てるのが目的。
前日発表された7月の工作機械受注総額速報値は前年同月比37.7%増で10カ月連続のプラス。内需は13カ月、外需は9カ月連続増加と好調。世界シェア6割の産業用ロボット用基幹部品を生産するナブテスコ<6268>は、中国で生産し年産70万台に高めると報じられ18円高だった。荏原<6361>は前日に4~6月期決算を発表し営業損益が14.7億円の赤字。受注高は27%減。通期見通しは据え置きだが23円安と売られた。JUKI<6440>は21円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。売買高12位。川崎重工<7012>はロールスロイス社とエアバスの次期中型機「A330neo」の低燃費ジェットエンジン開発に参画すると報じられたが1円安だった。
政府は中古住宅購入を促し空き家対策を進めるために低利融資と税制優遇措置を拡大する方針で、中古住宅取得時に耐震化、バリアフリー化、内装などのリフォーム費用を低利融資する新制度をつくると報じられた。「フラット35」も中古住宅購入とリフォームの合算額に適用される。リフォーム関連の代表格LIXILG<5938>は33円高、TOTO<5332>は13円高、マンションリノベーションのインテリックス<8940>は28円高。