とどまるところを知らないテレビの大型化 平均画面サイズは34インチに

2014年08月13日 10:20

 液晶テレビの平均画面サイズがついに過去最高の34インチとなった。さらに、このところ進んでいるテレビの大型化と収益重視のメーカー各社の動きが反映され、1インチ単価(税抜き)は1900円台まで回復した。株式会社BCNが全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。

 同社によると、液晶テレビの平均画面サイズは、11年の年末商戦で30型台に突入した後、13年の6月に一気に32を突破し、この7月に初めて34.0インチと過去最高を記録した。13年の夏商戦から14年の2月までは33型台後半で推移したが、新生活需要で小型モデルの売り上げが増加する3~4月に一服感があった。5月以降、再び拡大基調となった。これまでの最高は33.9インチだった。直近の6月のほか、13年11月、12月にも33.9インチを記録していたが、なかなか「34の壁」を破れなかったという。

 メーカー別の平均画面サイズを見ると、最も大きいのがソニーで、この1年ほぼ40インチを上回る水準で推移している。液晶テレビのメーカーシェアでは、同社は4位のポジションにあるものの、昨年7月のシェア7.2%から本年の7月は15.6%と8.4ポイント上昇した。上位3社との差を縮めながら大型化のけん引役も果たしている。1インチ単価は上位4社中最も高いものの、下げ基調が続いており、今年に入って2000円台まで下落した。こうした価格要因が、同社のシェア拡大を後押ししているとした。

 また、東芝は6月に平均画面サイズ37.8インチと同社最高を記録し、ソニーに次ぐサイズで推移している。1インチ単価も今年の初頭に上昇し一時2000円台となった。このため若干シェアを落としたものの、7月には他社と同レベルの1800円台に戻り、シェアも徐々に回復してきた。

 一方、平均画面サイズ変動で対照的な動きをしているのがシャープとパナソニックだという。液晶テレビでトップシェアのシャープは、上位4社のなかでは平均画面サイズは小さめだった。特にこの3月と4月は久々に32インチを切る31インチ台になり、小型テレビの多い新生活需要を取り込んだ。以降徐々に画面サイズが大型に戻り、7月には33.1インチまで回復した。パナソニックは、この2月に平均画面サイズが、36.2インチと急速に大型化した。しかし、以降徐々に戻り、7月にはシャープと同じ33.1インチに落ち着いている。シャープの1インチ単価は1700円台からじりじりと1800円台までに上昇している一方、パナソニックは6月に一旦2000円台を付けた後1800円台に戻した。シャープ、パナソニック、東芝のシェア上位3社は1800円台とほぼ同水準の1インチ単価に落ち着いている。

 そして、平均画面サイズの拡大とともに、50型以上の大型製品の販売構成比も伸びているという。7月現在の販売台数構成比では液晶テレビ全体の12.4%に過ぎないが、販売金額では全体の34.3%を占め、最も売り上げの上がる画面サイズ帯に成長した。

 こうした市場構造の変化に伴って、メーカー間の競争も激化している。これまで、全部の画面サイズ帯で安定的にトップシェアを握ってきたシャープだが、この7月は50型以上で僅差ながらパナソニックにトップの座を明け渡した。さらにソニーもこの2社をわずかな差で追いかけている。

 BCNでは、住宅事情もあり、日本市場ではテレビの極端な大型化は期待できないものの、買い替え需要を中心に40~50型台の構成比はまだまだ拡大の余地は大きいという。注目が集まる4Kテレビもこのサイズが売れ筋で、年末商戦に向け、40~50型台が市場全体をけん引することになりそうだと予測している。 (編集担当:慶尾六郎)