SBI証券は、LINEと証券サービスを連携させた今までにない“LINE×証券”融合サービスの開始を決定した。「LINE ビジネスコネクト」を活用した株価照会・約定通知・発注機能の提供など、随時、“LINE×証券”融合サービスの提供を行っていく予定だ。
SBI証券<8473>は、LINE社が提供するスマートフォンアプリ“LINE”を活用し、証券サービスを連携させた今までにない“LINE×証券”融合サービスの開始を決定した。まずは2014年8月19日予定のLINE公式アカウントの開設を皮切りに、LINE社が提供する「LINE ビジネスコネクト」を活用した株価照会・約定通知・発注機能の提供など、随時、“LINE×証券”融合サービスの提供を行っていく予定だ。“LINE”における証券会社のサービス提供は、同社が業界初となる。
SBI証券が“LINE”の活用を考えた背景には少額投資非課税制度“NISA”がある。今年1月からスタートした“NISA”だが、現時点においては、“NISA”を利用している投資家は、投資経験のある40代・50代が中心で、若年層に投資が広がっていないのだ。一方、“LINE”は、総務省公表データによると20代の約80%、30代の約65%が利用しており、若年層に圧倒的な支持を得ている。そのため、“LINE”上で金融サービスを提供することは、若年層へのアプローチに最も有効であるとSBI証券は考え、本サービスの開始を決定した。
取引の対象は国内の株と上場投資信託(ETF)で、NISA口座経由でも注文できる。取引を始めたいとのメッセージを送ると、SBIが自動返信で銘柄や株数などを質問し、それらに答えて注文を進める。取引手数料は従来の取引と同じ。買い注文のみに限定し、売りたい時はSBIの既存サイトを利用する。
このように、完全に“LINE”だけで取引が完結できるわけではない。インターネットバンキングでは相次いで不正行為が発覚し、金融機関は注意喚起に躍起になっている。利用者の間でも警戒心が強まっているだけに、セキュリティ対策の不備は会社の信用を一気に失墜させることになる。“LINE”の活用では、個人情報の流出による悪用を防ぐ対策が重要だ。
“LINE”と証券会社のコラボレーションはこれまでになかった顧客層を掘り起こす可能性を秘めている。しかし、“LINE”上での金融サービスの提供が若年層へのアプローチに本当に有効だろうか。株式投資の魅力、おもしろさを伝えることを抜きにして、“LINE”という方法論ばかりに注目が集まるようでは、単なる話題づくりで終わってしまいかねないのではと筆者は危惧しているのだが(編集担当:久保田雄城)