スマホやタブレット端末の普及に伴い、電子書籍市場が盛り上がっている。講談社が「週刊モーニング」や、「進撃の巨人」が連載中の「別冊少年マガジン」の電子化をスタートさせるなど、漫画分野でも電子化の流れは進んでいる。市場は1000億円を突破し、5年後には現在の3倍近くまで成長するとの推計もある。
一方で、人々の「電子書籍への関心」は低下傾向、との見方もあるようだ。インターネットコムとNTTコムリサーチが実施している定期調査によれば、電子書籍を読んだことのない人のうち、「読んでみたい」人は3割にとどまり、「電子書籍への希望度」は3年間で15ポイント近く減少している。
調査は2011年9月から定期的に実施しており、今回で12回目。対象は全国のインターネットユーザー男女1095人で、年代比は10代が2%、20代27.9%、30代21.4%、40代17.3%、50代16.7%、60代以上14.8%。若年層がやや多めとなっている。
「電子書籍・雑誌を読んだことがありますか」と尋ねたところ、「はい」は35.9%(前回36.7%)、「いいえ」は64.1%(同63.3%)だった。「いいえ」と答えた電子書籍の未経験者に対し、今後読んでみたいかどうか質問したところ、「はい」は29.9%(同34.2%)、「いいえ」は70.1%(同65.8%)となった。電子書籍の利用者は増えないどころか、2011年9月には44.8%いた「電子書籍の利用希望者」が、今回は3割未満まで減少してしまっている。インターネットユーザーに限った調査なので、実際はもっと少ないかもしれない。
電子書籍に関心がないのはなぜか。「電子書籍を読みたくない」と答えた人に、理由を質問したところ、「画面では読みにくい」、「紙の書籍・雑誌の方が好き」がそれぞれ38.2%、「紙の書籍・雑誌で十分満足」が33.7%、「そもそも書籍・雑誌を読まない」が23.6%という結果になった。電子書籍は読みづらそうだし、わざわざ買おうとは思わない、という人が多いようだ。「電子書籍を読むのに必要な専用リーダーの値段が高い」と考える人も15%いた。
調査したインターネットコムでは、電子書籍を敬遠する人たちへ向け、テレビCMだけではなく「書店や家電量販店の店頭で、電子書籍リーダーを実際に使ってもらうプロモーション活動が重要」とコメントしている。(編集担当:北条かや)