電子書籍の市場規模は、現在どんどん拡大し続けている。「本や雑誌は紙で読むもの」という考えを根強く持ち続ける人もいるなか、その市場規模は今や1000億円以上とされている。しかしそれとは裏腹に、紙の書籍や雑誌の売上は落ち込み続けている。この傾向が続けば、いつの日か「活字は電子書籍で読むもの」と、これまでの常識が覆る日も来るかもしれない。
そうしたなか、5月に動画配信大手のドワンゴ<3715>との経営統合を発表したKADOKAWA<9477>が、短文投稿サイトの「Twitter(ツイッター)」を使って電子書籍の一部を読むことができるサービスを開始したと発表した。「KADOKAWA Twitter ePub Viewer」と呼ばれるこのサービスは、Twitter Japanの協力のもと開発され、KADOKAWA傘下の角川アスキー総合研究所により提供される。
KADOKAWAによれば、この「KADOKAWA Twitter ePub Viewer」は、ツイッター上に公開された電子書籍を表示させ内容の一部を「立ち読み」できるほか、販売サイトへのリンクも表示され、そちらにアクセスすれば作品を購入することもできるという。またユーザーが「つぶやく」ことで、ほかのユーザーにその作品を紹介することもできる。KADOKAWAとしては、全世界の月間アクティブユーザー数が2億5500万人を突破しているツイッターユーザーに対して、電子書籍の利用をアピールし、購入につなげたい考えだ。
この「KADOKAWA Twitter ePub Viewer」により「立ち読み」出来る作品は公式サイトに掲載されたものに限られ、現在はKADOKAWAの電子書籍2万冊が対応しているとのこと。今後はBOOK☆WALKERから12万冊、出版デジタル機構から22万冊、合計34万冊規模のタイトルが加わる可能性もあるという。
こちらの「KADOKAWA Twitter ePub Viewer」は2日より、「tw-epub.com」にて公開されている。
電子書籍を巡る動きとして、先月30日に大手書店「TSUTAYA(ツタヤ)」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ<4756>(CCC)が、電子書店のブックライブとパートナーシップを結び、ツタヤで紙の書籍や雑誌を購入すると、ブックライブを通じて電子書籍版が提供されるというサービスの開始を発表したばかりだが、今回のKADOKAWAの新サービスの開始と併せて、電子書籍市場は今後ますます活発化の一途を辿りそうだ。(編集担当:滝川幸平)