異業種による低価格スマートフォン(多機能携帯電話)、いわゆる「格安スマホ」への参入が続いている。これまでにも、イオン<8276>やビックカメラ<3048>などが「格安スマホ」に参入をはたしているが、今回、新たに異業種による参入が発表された。
20日、賃貸不動産仲介大手のエイブル<8872>が、「格安スマホ」事業を手がけるフリービット<3843>と業務提携し、今年の秋ごろから全国のエイブル直営店にて「格安スマホ」の販売を開始するとの発表を行った。エイブルが販売する「格安スマホ」は「エイブル“PandA”」という名称であり、端末代と基本料金は月2160円で、エイブルの会員特典や物件に関する相談サポートなどが無料で利用できるアプリがあらかじめ搭載されている。まずは都内などのエイブル直営店10店舗で取り扱いを開始し、その後、順次取り扱い店舗数を増やしていき、直営店約400店舗すべてで販売を行う予定だ。
店舗内での営業や契約手続きなどはエイブルの従業員が担当し、後日、フリービットがユーザーにスマートフォンを届ける。エイブルとしては、就職や進学などのタイミングで新しいスマートフォンを持とうと考える顧客に対して訴求し、年間で1000台の販売を目標として掲げている。またフリービットは2013年11月より「格安スマホ」の販売を開始し、これまでは自社サイトでの販売が主であったが、さらなる販売数拡大のためには、実店舗を持つ企業との提携が必要と判断し、今回の業務提携に至ったようだ。フリービットは幅広い層の顧客の獲得が期待できるとしてエイブルとの提携を決定。これからも他社との業務提携を検討するとしている。
エイブルが今回発表した「エイブル“PandA”」は、フリービットのスマートフォン「PandA」の仕様を変更したものであり、通信回線は前世代の「3G」を使用。料金は端末代、基本料金合わせて月2160円であり、この金額は大手携帯会社の3分の1程度とのこと。
ますます加速する異業種による「格安スマホ」参入だが、しかし参入が増加するに伴い、当然競争も激化する。生き残るためには、安さ以外にもサービス内容の充実が必要となってくることだろう。各参入企業の「次なる一手」に注目したい。(編集担当:滝川幸平)