NTTドコモが製作した「もしもスクランブル交差点を横断する人が全員歩きスマホだったら?」というシュミレーション動画が海外で話題になっている。無事に渡り終えたのは約36%。歩きスマホは重大な事故に繋がるおそれがある。
NTTドコモ<9437>が製作した「歩きスマホ」の注意勧告動画が海外で話題になっている。動画はCGで作られ、渋谷のスクランブル交差点が舞台だ。「もしもスクランブル交差点を横断する人が全員歩きスマホだったら?」という設定で、1,500人が同時に交差点を渡る。「歩きスマホの歩行時の視野は通常歩行時に比べて約20分の1になる。(愛知工科大学工学部情報メディア学科 小塚一宏教授の研究結果に基づく)」と危険性を指摘しながら、歩く速度やぶつかったときの反応など、様々な条件を加えながらシュミレーションが行われる。
結果は、無事に交差点を渡り終えたのが547人で、全体の約36%にとどまるというものだった。「衝突件数」は446件、「転倒件数」は103件、「スマホ落下件数」は21件となった。この動画についてイギリスBBCは「日本は歩きスマホの時代に突入」と取りあげ、アメリカのネットメディア「The Daily Dot」には「まるでスマホゾンビ黙示録だ」というコメントが寄せられた。
歩きスマホによる事故は今や深刻な社会問題のひとつでもある。東京消防庁は管内で起こった歩きスマホによる事故件数を公表しており、それによると2010年の救急搬送人員は23人で、11年で29人、12年で34人、13年で36人と年々増加している。年代別にみると40歳代が最も多く、次いで20歳代、30歳代、50歳代の順となっている。発生場所は「道路・交通施設」が80.3%を占めている。うち「駅」での事故は全体の24.6%にものぼる。スマホ操作中は周囲への注意力が低下するため、道路や駅などで歩きスマホを行うことは大変危険である。
東京都は09年に道路交通規則を一部改定し、自転車運転時の携帯利用を規制。違反した場合には5万円以下の罰金を科すとしている。米国・ニュージャージー州のフォートリーでも12年から、歩きスマホに対する罰金を導入し、違反者には85ドルの罰金が科せられる。またアイダホ州レックスバーグでも、横断中の歩きスマホに対して50ドルの罰金刑が法制化された。
13年10月には東京都板橋区で、歩きスマホによる死亡事故も発生。スマホに夢中になっているうち、警報機が鳴っているのにも気付かずに踏切内に進入した40代の男性が電車にはねられてしまったのだ。歩きスマホは命を奪う重大な事故にも繋がりかねない。歩きスマホはもうしない、そんなマナーが当然になる日は来るのだろうか。(編集担当:久保田雄城)