人手不足は建設業、小売業、外食産業などで深刻で、全国的にも仕事があるにも関わらず人手が足りないため受注することができないという事態が広がっている。人出不足による倒産が増加傾向にあり、2014年上半期では137件にのぼった。
東京商工リサーチは全国の企業倒産件数の調査を行っており、負債総額1,000万円以上で倒産した企業の統計を「倒産月報」で発表している。2014年の上半期(1-6月)の報告によると、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業は全国で5,073件、負債総額は1兆541億600万円にものぼった。前年同期で比較した場合倒産件数は9.7%減っており、負債総額も41.3%減で、上半期においては比較的低水準だと言える。特に負債額が100億円を超える倒産は5件にとどまり、前年同期と比べて半減している。しかし負債額が1億円未満の倒産企業は3,606件にものぼり、前年同期の3,925件からわずかに減っているものの依然として高いままだ。
今回の上半期の倒産に目立ったのは人手不足による倒産だ。求人を募集しても人が集まらず、休業や廃業に追い込まれる企業が増加しているのだ。「後継者難」型が121件、「従業員退職」型が6件、「求人難」型が10件で、合計137件となっている。人手不足による倒産企業の負債総額は151億8,600万円にのぼる。特に「求人難」型は前年同期で2件だったのに対して、5倍にも増加している。
人手不足は建設業、小売業、外食産業などで深刻で、全国的にも仕事があるにも関わらず人手が足りないため受注することができないという事態が広がっている。長野県では職人と運輸業者を確保できず、受注した工事を進めることができなかったために資金繰りが悪化したという建設業者がある。現在は事業を停止しており、最悪の場合、自己破産の手続きをとらざるをえないという。福岡県の運輸業者もやはり運転手不足によって採算が悪化し、すでに3月の時点で事業を停止するという事態に陥っている。
人手不足は人件費高騰を招き、消費税増税による価格転嫁に苦しむ小売店や中小企業の経営をさらに圧迫している。全国の中小企業3,191社の回答をもとに日本商工会議所が作成したデータによると、消費税増税後に価格転嫁が十分にできていない中小企業は約37%にものぼる。今後さらに人手不足による経営難が表面化していくことが予想され、危機感を募らせている企業も多いのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)