体力が必要とされることで男性の仕事というイメージの宅配業だが、積極的に女性スタッフを活用しているのが佐川急便だ。6月には、2016年までに宅配業務で主婦1万人を採用すると発表して話題となった。子育てや家事の合間でこなせるよう、勤務地は自宅近隣付近で、トラックではなく自転車や台車、徒歩などで配達するという。1日約3時間程度の短時間勤務を想定し、配送個数に応じて給与を支払うという形態だ。近年ネット通販の利用増加に伴い、宅配荷物の数も伸びている。ネット通販の荷物は書籍や家電、衣類や化粧品など様々だが、小さくて軽いものが多く、力仕事が苦手な女性でも運びやすい。
安倍政権は成長戦略のひとつとして、女性の活用に力をいれている。少子高齢化が加速する日本で、労働者の確保は重要な問題だ。労働人口が減少すると国の生産力も落ちるため、経済力が衰退してしまうこととなる。政府は、女性の社会進出を促すため、待機児童の解消や、保育サービスの充実、小学生を対象とする学童保育などの対策を進めている。企業などにも育児休業や短時間勤務制度を整えるよう要請し、条件を満たす事業主には助成金を出すなどして、公的支援も積極的に行っている。
佐川急便はすでに数年前から、女性雇用の拡大を明確な目標に据えて動き出している。11年には女性の活躍推進を目的とする「わくわくウィメンズプロジェクト」を発足させ、女性の活用に意欲的に取り組んできた。社員の駐車場には妊婦用の区画を設けて女性が働きやすい職場を作り出している。12年には初の女性店長が就任し、13年には女性従業員を対象とした社内報「Waku-Waku(ワクワク)」を作った。佐川急便は15年に女性雇用率を30%まで引き上げることを目指している。
人手不足は運輸業や建設業などで著しく、トラックのドライバーや建設作業員の不足によって会社が倒産するという事態も起きている。積極的な女性の活用が、今後の活路を切り開くと言えるだろう。(編集担当:久保田雄城)