8月の「東日本大震災」関連倒産は13件 件数・負債総額ともに今年最少に

2014年09月04日 08:16

 2014年8月の「東日本大震災」関連倒産は13件(速報値:8月29日現在)で、28カ月連続で前年同月を下回った。株式会社東京商工リサーチは1日、2014年8月の「東日本大震災」関連倒産の調査結果を発表した。

 8月は、件数・負債総額ともに今年最少で、震災から3年半を迎え、震災関連倒産は収束傾向を強めている。ただし、累計は1494件(8月29日現在)に達した。また倒産のほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が17件あり、これを含めた震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計1511件になった。

 地区別は、関東8件、東北5件。このうち、東北は宮城2件、岩手2件、秋田1件だった。「震災関連」倒産の累計1494件を都道府県別にみると、最多は東京の444件(8月2件)。次いで、宮城112件、北海道81件、神奈川65件、福岡62件、千葉60件、岩手53件、群馬52件、茨城49件、大阪44件、静岡43件、福島・栃木・埼玉が各39件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は276件(構成比18.4%)だった。

 「震災関連」倒産の累計1494件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の381件(8月2件)。次いで、製造業が353件(同4件)、卸売業が272件(同5件)、建設業が192件(同1件)、小売業が136件(同1件)と続く。

 被害型で分類すると、「間接型」1,375件(構成比92.0%)に対し、「直接型」は119件(同7.9%)だった。8月は「直接型」が2件(宮城1件、岩手1件)だった。

 8月の倒産例を挙げる。食肉・ハム、惣菜販売の(有)坂下商会は、昭和20年創業の老舗だった。精肉、ハム、惣菜類の店頭販売に加えてホテル、レストラン、学校給食向けの業務用食材販売を手がけていた。しかし、東日本大震災で本社店舗が津波により浸水被害を受けたことに加えて、販売先の多くが休業したことで業況が悪化した。グループ補助金の利用により復旧を進めていたが、先行きの見通し難から破産を申請した。
 
 また、水産物加工のプリモフーズシステム株式会社は、魚介類の加工を中心にピーク時には売上高約14億円を上げていた。こうしたなか、東日本大震災で一部在庫が流失したうえ、原発事故の風評被害により著しい販売不振に陥った。経営改善の見通しが立たないことから破産手続きに踏み切った。

 このレポートでは、震災関連倒産は、震災から3年半を迎え発生ペースの鈍化が目立つ。事業再建を目指しながらも、先行き見通し難から事業継続を断念するケースがみられ、震災の影響から脱却できない企業はまだ多いと分析している。(編集担当:慶尾六郎)