【日経平均】FOMC待ち、スコットランド待ちで22円安

2014年09月17日 20:19

 16日のNYダウは100ドル高。NASDAQは33ポイント上昇し3営業日ぶりに反発した。FRBウォッチャーとして知られるウォールストリートジャーナルのジョン・ヒルゼンラス記者が、16~17日のFOMC後の声明では「低金利を相当な期間維持する」という表現に基本的な変更はないだろうという記事を書いたら3ケタ上昇。ペンが株価を動かす。経済指標が良くなかった中国の人民銀行が5大銀行に大規模な流動性供給を実施する用意があると報じられたのも好材料だった。エクソンモービルが1.2%、シェブロンが0.6%上昇するなどエネルギー関連が堅調。アップルは0.8%下落。17日朝方の為替レートはドル円は107円台前半、ユーロ円は138円台後半で前日とほぼ同じ水準だった。

 CME先物清算値は15910円。日経平均は36.62円高の15948.15円でメジャーSQ値を軽々突破し前日の下落分をほぼ埋めてスタートした。TOPIXもプラス。調子よく16000円チャレンジかと思いきや午前9時8分の15969円をピークに伸び悩みしばらく15950円前後でもみあった後、9時40分すぎからTOPIXがマイナスに転落し日経平均もこの日の安値を取りながら下落し始める。それでもマイナスにはならず、9時58分の15921円で底を打ち10時台は15940円付近まで戻す。為替はドル円はあまり変化がなく、ユーロは最新世論調査の結果で「スコットランドの独立賛成票は反対票を上回れない」という見方が浮上し139円寸前まで買われた。香港市場が9日ぶりに反発して上海市場もプラスで始まると、15930~15940円のレンジだった日経平均は15940円をオーバーする水準に切り上がる。しかしTOPIXは不動産とメガバンクの銘柄の下落が足かせになってプラスに浮上できない。11時台はそのTOPIXも一時プラスにタッチするが、前場終了前にスルスル下落して前引けは15929円だった。

 後場は少し下げて15924円で再開するが、アッと言う間にマイナス圏まで下落する。為替のドル円は107円台を維持したが、ユーロが少し安くなった。それでも午後1時までにプラスに浮上して15940円付近まで上昇する。1時台前半は15920円台を維持していたが、後半に下落してメジャーSQ値を割り込んで再びマイナスに。2時1分には15900円も割り込んで15897円まで下げるが、その後は夜のFOMCの結果待ちもあって下値が15900円、上値が前日終値での小動きが続く。プラスかマイナスか、のるかそるかの終盤だったが、大引け直前に15900円を割り込み22.86円安の15888.67円で安値引け、続落で終えた。日中値幅は81円。TOPIXも-5.90の1304.96で安値引け。売買高は18億株、売買代金は1兆8056億円だった。

 値上がり銘柄は491。値下がり銘柄は1199で全体の65%を占めた。上昇3業種、下落30業種。プラスセクターは鉱業、小売、医薬品。マイナスセクターで下げ幅が小さかったのは鉄鋼、食料品、情報・通信など。下げ幅が大きかったのは海運、不動産、その他金融、パルプ・紙、電気・ガス、倉庫などだった。

 日経平均採用225種は値上がり58銘柄、値下がり163銘柄。プラス寄与度1位は、ザラ場途中までこの銘柄のおかげで日経平均がプラスを保っていた観もあったファーストリテイリング<9983>で+22円、2位は東京エレクトロン<8035>で+3円。マイナス寄与度1位は前週の日経平均の5連騰を支えて前日も上昇したが、この日はさすがに一服していたソフトバンク<9984>で-11円、2位はダイキン工業<6367>で-3円だった。

 メガバンクはG20の自己資本比率基準の引き上げ方針は資本増強が必要で相当なネガティブ要素のようで、続落して後場一段安。みずほ<8411>は2.4円安、三菱UFJ<8306>は4.9円安、三井住友FG<8316>は34.5円安。野村HD<8604>は8.7円安だった。アイフル<8515>は売買高9位の19円安で値下がり率7位、アコム<8572>は15円安で同11位になり、その他金融セクターは業種別騰落率31位と悪かった。

 自動車はトヨタ<7203>は4円高。ホンダ<7267>は20億円を投じバングラデシュに二輪車の新工場を建設する検討に入ったと報じられたが12.5円安。日産<7201>は5円安。二輪車向けクラッチでトップシェアのエフ・シー・シー<7296>は9月中間期と通期の業績見通しを下方修正し、減益見通しが嫌気されて66円安だった。

 電機大手は軒並み安で、ソニー<6758>は39.5円安、東芝<6502>は0.8円安、日立<6501>は11.6円安、シャープ<6753>は5円安、パナソニック<6752>はグーグルの新興国向けのスマホの生産を行うと報じられ10.5円安。その中でNEC<6701>が4円高、富士通<6702>が7.8円高と健闘していた。本体がAV事業から手を引き車載情報機器に特化するパイオニア<6773>は2200人を削減する人員リストラ策を好感され終盤までプラスだったが結局5円安。売買高4位。オーディオをやりたくて入社した人は気持ちの整理もつくのだろうか?

 新型iPhoneは4.7インチ画面の「6」よりも5.5インチ大画面の「6 Plus」のほうに予約が殺到し、そこから需要増が連想されたシリコンウエハー関連銘柄が買われた。信越化学<4063>は26円高と続伸して年初来高値を更新。SUMCO<3436>も36円高で年初来高値更新。富士紡HD<3104>はシリコンウエハー研磨材に期待していちよし経済研究所が新規に「A」のレーティングをつけ21円高で値上がり率9位だった。

 NTTドコモ<9437>に対抗してソフトバンクも10月末までの「のりかえ下取りプログラム」を始めるが95円安。下取り額は最大43200円でドコモと同額。さらにスプリントの回線を活用しアメリカから日本にかけ放題のサービスも追加するなど新型iPhone発売前に商人魂炸裂。NTTドコモは11.5円高で年初来高値を更新し、NTT<9432>は16円高。KDDI<9433>は27円高で年初来高値を更新した。情報システム開発のコムチュア<3844>は日本郵政や地銀、カード会社などの大型案件を受注し、4~9月中間期の営業利益が9%増の5.1億円で過去最高益という業績観測記事が出て98円高で3日続伸し値上がり率15位に入っていた。