スコットランドの分離独立を問う住民投票が9月18日に行われる。16歳以上のスコットランド住民が投票することになるのだが、投票直前にして賛成・反対が拮抗していて、まさに予断を許さない状況だ。キャメロン首相などイギリス政府首脳もスコットランド入りしている。
スコットランドの分離独立を問う住民投票が9月18日に行われる。16歳以上のスコットランド住民が投票することになるのだが、投票直前にして賛成・反対が拮抗していて、まさに予断を許さない状況だ。キャメロン首相などイギリス政府首脳もスコットランド入りして、スコットランドの自治拡大を約束するなど、残留するよう訴えている。この問題、イギリスの政治的・経済的プレゼンスの低下、EU加盟も絡み、また、欧州内の独立運動にも波及しかねないなど、大きな影響を及ぼすため、世界的にも注目を浴びている。
イギリスの一部であるスコットランドは、人口は530万人(イギリス全体の8.5%)、面積は78000?、1450億ポンドの国内総生産(GDP)である。民族はケルト系が多く、宗教も長老派教会やカトリックが多く、アングロサクソン系かつ英国国教会のイングランドとは違いがある。スコットランドは1707年にイングランドと合同しイギリス(グレートブリテン連合王国)になったが、実質的に併合されたとスコットランド人は認識している。
スコットランドはイギリスから独立をして何を目指すのか。まず、自前の税制を導入すること、そして北海油田から税収を得ることだ。それによって子育て支援、社会保障の充実を図り、スウェーデンなどの北欧型の高福祉社会の実現を目指す模様だ。また、エリザベス女王を国家元首とし、さらに通貨もポンドも使うなどイギリスに配慮する面も見せているが、他方、欧州連合(EU)に独自に加盟し、核兵器を放棄する国家を目指していく。
この背景には、1990年代にイギリスが地方分権を進めたことが背景にある。その流れの中、99年にブレア政権がスコットランドに地方議会の設立(復活)を認めたことが大きく影響している。2011年にスコットランド議会で、スコットランド国民党が過半数をとった。その国民党が独立に向けて突き進み、さらにイギリス政府が12年に住民投票を認めたことが今回の直接的なきっかけだ。
独立を求める裏にはアイデンティティ、経済的利害、歴史・文化意識、権利意識など複雑な要素が絡み合っていると思われる。ただし、政府が住民投票を認めたという意味で、バスク、カタルーニャなどの地域とは違う。豊かな地域が自分たちだけ独立したいというものでもない。色々な意味でスコットランドから目が離せない。(編集担当:久保田雄城)