カーナビの情報はどこから? 動き出した次世代VICS

2014年09月20日 19:18

ローム

2015年4月から配信が予定されている次世代のVICSシステムに対応した、ロームのFM多重放送受信用LSI「ML7154」。同社従来品と比較しても実装面積で約40%もの縮小に成功した。

 今や、車の運転に欠かせないものとなっている、カーナビゲーションシステム。普段から当たり前のように使っているカーナビだが、その情報はどこから入手しているか、ご存知だろうか。カーナビゲーションなどの車載機に渋滞や交通規制、所要時間、駐車場情報などの道路交通情報をリアルタイムに送信しているのは、一般財団法人 道路交通情報通信システムセンターが提供している「VICS」システムだ。VICS情報は24時間365日、休むことなく提供されており、様々な交通情報を文字や図形で表示させる、画期的な情報通信システムだ

 VICSは1996年から提供されているが、翌年の97年度では累計442,492台だったVICS車載機の出荷台数は、カーナビの普及とともに確実に増加しており、2013年度の年度合計では初年度の約10倍以上となる4,559,427台の出荷を記録した。また14年度の累計では43,078,880台となっている。とくに2010年以降は年度合計で300万台以上を維持しており、今後も堅調に推移すると見られている。

 そして来年2015年4月には、このVICSシステムの次世代サービスが開始されるということで、すでに関連業界が対応の動きを見せている。次世代VICSでは、従来から提供されている交通情報サービスのほか、詳細な渋滞情報やイベントなどによる交通規制情報、緊急情報などが新たに配信されるようになる。さらに特筆すべきは、これまではビーコンユニットの装着が必須だったダイナミックルートガイダンス(一般道の渋滞情報を活用したリアルタイムの広域道路検索)がFM多重放送でも可能になることだ。

 これに伴い、ロームグループのラピスセミコンダクタが業界で初めて次世代VICSサービスに対応したFM多重放送受信用LSI「ML7154」の開発を発表した。

 同社開発の従来FM多重放送受信用LSIは、これまでにも多くのカーナビに採用されている。今回の新製品はその開発資産をベースに次世代VICSサービスに対応したものだが、CPUインタフェースを従来のパラレル・インタフェースから、シリアル・インタフェースに変更することで端子数を削減、さらにはWQFNパッケージを採用することで、業界最小のパッケージサイズを実現。同社従来品と比較して、実装面積で約40パーセントの縮小に成功している。また、簡単に評価を開始できるリファレンスボードとソフトウェア環境もすでに用意されており、充実したサポート体制も万全で、10月から量産出荷を開始する予定だ。

 VICSシステムは交通が円滑になるだけでなく、CO2の排出量削減やガソリン消費量の削減など、環境保全の面でも注目が高まっている。次世代版のVICSシステムが開始されれば、それに対応した新製品が続々と発売されることだろう。ナビの買い替えを検討しているのなら抜群のタイミングかもしれない。便利なシステムをどんどん利用して、環境に優しいエコドライブを心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)