政府は、国の人材力を強化しようと、2020年までに外国人留学生を現在の14万人から30万人へと倍増させることを目指している。期待がかかる留学生だが、彼らの就職は簡単ではない。厚労省によると、外国人留学生のうち、約5割が卒業後に日本で就職を希望しているにもかかわらず、卒業後、実際に日本で就職しているのは2割程度にとどまる。
厚生労働省が今月16日公表した、「大学における留学生の就職支援の取り組みに関する調査」によると、留学生は日本の就職活動の仕組みについて十分な知識を提供されておらず、就職活動への取り組みも遅くなることがわかった。さらに、留学生の間では日本企業の情報が不足しており、大企業志向も根強いことから、中小企業を選択肢に入れる学生がまだまだ足りないという。留学生たちの多くは、ビジネスレベルの日本語への不安も大きく、キャリア支援と合わせた日本語学習の支援も求められている。
調査は厚労省が、今年2~3月にかけて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して実施。全国630の大学と留学生2万人に対して、アンケートを実施し、特徴的な回答のあった20の大学と、その大学の留学生に対しヒアリングを実施した。
外国人留学生の就活支援の課題は、どこにあるのか。留学生らに「日本での就職にあたって自分に足りないと感じていること」を聞いたところ、「語学力が足りない」が54.4%と群を抜いて多く、次いで「日本企業が期待している能力への理解が足りない」が34.7%、「自分を生かせる企業をあまり知らない」が33.8%だった。多くの外国人留学生は、語学力と情報不足に悩んでいる。
そんな留学生らが大学に期待するプログラムは、「日本語のビジネス応対話法」(52.3%)、次いで「就職試験の実践的トレーニング」(44.2%)、「日本企業を広く知る機会」(41.2%)となっている。しかし、約8割の大学では、こうしたニーズに応えるカリキュラムやイベントを行っていなかった。大学の支援策が十分ではない、もしくは留学生の希望と合っていない可能性もある。政府はグローバル人材戦略の強化を目指すが、スローガンだけでは始まらない。正しい就職支援のあり方が求められる。(編集担当:北条かや)