『パナマ アウロマール ゲイシャ』は、ゲイシャ種という希少なコーヒー豆を使った商品。世界全体で1600袋を仕入れ、その内1000袋は日本市場向けだという。スターバックスの日本市場での成功を物語っている数字でもある。コーヒー愛好家の方は一杯いかがだろうか。
スターバックスコーヒージャパン<2712>が強気の戦略展開を行っている。9月17日より、全国48店舗で限定商品として「パナマ アウロマール ゲイシャ」を販売しているのだが、何とこちらのコーヒーの価格は1杯1998円(税込・一部店舗では1782円で販売)!豆売りは1袋250グラム入りで10800円(税込)となっている。もちろんスタバ史上最も高いコーヒーだ。希少価値の高い豆ということもあるが、ブランド力とプレミアム感、話題性を考えた強気の姿勢が伺える。
スターバックスコーヒーは、1996年に東京銀座に国内1号店をオープン。2005年頃を境に知名度とともに売上も上昇し、13年度の売上は1200億円を越えた。9月12日には、全国唯一の未出店県で、「スタバはなくともスナバ(砂場)はある」と知事自ら逆PRを行っていた鳥取県にもついに進出することを発表。鳥取店の出店は15年初夏が予定されている。上陸20年で全国制覇を果たし、今後はドライブスルー型の店舗を拡大し、郊外店の展開強化なども見据えているようだ。
一方、ミルクなどの原価上昇から、主力商品の値上げも断行。10月1日から、「ラテ」、「カプチーノ」を始めとした主力商品10品が、それぞれ10円ずつ値上げされる。実はスターバックスは2~3年毎のペースで、値上げやサイズと価格設定の見直しなどを細かく行っていて、無理な安売りは今までもしてこなかった。その分、無線LANサービスや店員教育の徹底によるサービス向上など、店舗の居心地の良さでしっかりと顧客を掴んできている。
雇用面でも、飲食・小売業界にありがちな契約社員制度を今年の4月に撤廃し、ほぼ全員を正社員化し、社員のモチベーションアップも行っている。外資系企業であるスターバックスが率先して正社員化を行ったことは、「飲食業界はブラック」という話題が多い時期だっただけに、企業のイメージアップにもつながった。
このように売上の面でも運営の面でも順調なスターバックスだが、世界の他の国でも日本と同様に成功しているわけではない。事実、地元コーヒー文化の強いオーストラリアでは赤字撤退を余儀なくされている。日本でこれだけ成功した背景には、コーヒーの消費量は多いものの、スタイルとしてコーヒー文化が無かった日本に、カジュアルさを持ち込んだことにあるのではないだろうか。
手軽で美味しく、入りやすい。居心地が良いし、パソコンを持ち込んで仕事や勉強をしたっていい。古き良き喫茶店でもなく、既存のチェーン店とも違うイメージ。その風景がすっかり根付いた今、強気の展開は当然とも考えられる。スタバの好調はまだまだ続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)