好調なコーヒー業界 コンビニ参入もなんのその

2014年05月25日 22:40

 コーヒー業界が好調だ。ここ数年でセブン&アイ・ホールディングス<3382>のコンビニチェーンであるセブン・イレブンやローソン<2651>など、コンビニ各社が一気にコーヒー業界に参入してきた。淹れ立てのコーヒーを低価格で楽しむことができるため大ヒットしている。消費増税による売上の落ち込みが心配される中で、顧客獲得のための大きな柱として急速にその存在感が増している。

 ではコンビニの参入を受けた分、既存カフェチェーンの業績は悪化したのだろうか?答えは否だ。

 カフェチェーンといえばスターバックスやドトール<9952>、タリーズなどが有名だ。例えばスターバックスは2014年3月期の純利益が約60億円で13年3月期と比較すると10%以上も伸びている。その他の企業についても売上は右肩上がりで経営状態は良好。コンビニのコーヒー業界進出に対してしっかりと対応できているようだ。

 一方で日本国内のコーヒー消費量は全体としてそれほど伸びているわけではない。コーヒーの市場規模を示す指標である「日本のコーヒー国内消費合計(全日本コーヒー協会)」を見ても、05年の433,607トンに対し12年は427,984トンとほとんど横ばい状態だ。実際、缶コーヒーの売上げが落ち込んでいる面もあり、飲料メーカー大手のダイドードリンコ<2590>は競争激化を理由に先日業績の下方修正を行っている。缶コーヒーは価格帯や販路がコンビニコーヒーと競合し易いため、その影響はある程度免れないと見られる。

 カフェやコンビニ、缶コーヒー以外にも家庭向けの専用機が普及し始めるなど、日本人の国民的飲料としてコーヒーは確固たる地位を築いている。コーヒーに含まれるカフェインには様々な医学的効果があることも、健康大好き日本人にウケが良い理由の一つかもしれない。
 
 今後は各社とも単価の高いプレミアムコーヒーや、コーヒーと一緒に食べるライトミールの販売にも力を入れてくるはずだ。
 
 現在コーヒー豆の価格は上昇傾向にあり不安材料が全く無いわけではないが、それでもコーヒー業界の市場規模拡大余地は大きいと言える。これからも消費者にとって魅力的な商品やサービスがどんどん登場してくることだろう。(編集担当:久保田雄城)