小売り大手イオン<8267>は9月8日、レッドキャベツの買収を行うことを正式発表した。第三者割当増資を経てレッドキャベツの株式の86.7%をイオンが取得する形で、以降は連結子会社となる。レッドキャベツの社長である岩下良氏は続投し、イオングループから常勤取締役3名と非常勤取締役2名、非常勤監査役1名が派遣されることとなった。
レッドキャベツは本社を山口県下関市に構え、山口以南の九州を基盤として経営を広げてきた中堅のスーパーマーケットだ。1984年の設立以降、山口、福岡、長崎、佐賀、熊本にて合計41店を設置。創設者である故・岩下義之氏はイオン出身で、スーパーマーケット経営のノウハウを生かしながら、売上を300億円規模にまで発展させることに成功した。
2008年に病気によって同氏が他界した後は息子である良氏が社長として経営を引き継いだが、11年ごろから業績は低迷。売上高が年3%減のペースで落ち込みを見せていた。13年7月期の決算は、売上高が前期比6.0%減の307億8,700万円となった。決算期の変更により、前年度よりも11日間短くなったことで減収幅が大きくなっていることもあるが、前年と同期の日数で算出した場合においても約3%減となる。営業利益においては前期比16.7%減の2億2,000万円、経常利益についても13.1%減で1億4,000万円となり、当期純利益は88.1%減の400万円と激しく落ち込んだ。
売上高の減少を打開できない状況の中、4月に実施された8%の増税により、経営がさらに厳しくなると危機感を募らせていたレッドキャベツは、13年9月ごろから提携先を求め、イオンと交渉を進めてきた。記者会見で岩下良社長は、「インフラが整っているイオンのシステムを導入することがベストだと判断した」と述べ、イオンSM事業戦略チームの内田一男リーダーも、「九州での商圏確保に相乗効果が期待できる」と言い表し、双方にとって合理的な選択であったことをアピールした。
価格競争の激しい九州では、イオンの参入は他の地域に比べると後手に回っている印象があったが、このほどの買収により再編が加速すると見られている。今年7月にもイズミ<8273>が熊本市のスーパー「広英」を買収したばかり。九州のスーパーを巡って今後の勢力図の展開に注目が高まっている。(編集担当:久保田雄城)