文科省が公表したSGU「トップ型」は北海道、東北、筑波、東京、東京医科歯科、東京工業、名古屋、京都、大阪、広島、九州(以上国立)。早稲田、慶応(以上私立)。「グローバル化牽引型」は千葉、東京外語、東京芸術、長岡技術科学、金沢、豊橋技術科学、京都工芸繊維、奈良先端科学技術大学院、岡山、熊本(国立)。国際教養、会津(公立)。国際基督教、芝浦工業、上智、東洋、法政、明治、立教、創価、国際、立命館、関西学院、立命館アジア太平洋(私立)、計37校を国内で選定した。写真はそのトップに立つ東京大学の安田講堂
9月16日、英国で教育専門誌を発行するQuacquarelli Symonds Ltd.(QS社)が、「QS World University Rankings 2014-15」を発表した。同社は、2009年までTimes Higher Educationと提携し「Times Higher Education-QS世界大学ランキング」を編集していたが、Times Higher Education社がその協力関係を解消し、2010年より、QS社は独自の世界大学ランキングを発表している。
このランキングは、世界3000以上の大学を調査、うち合計800大学の評価をまとめたもので、上位400大学について個別順位、総合評価に加え、分野別や評価基準別の順位、学部・大学院(国内生・国外生向け)年間授業料(ドル単位)を掲載している。
総合評価では米国のマサチューセッツ工科大学が3年連続1位に選出。米国はベスト10に6大学、ベスト100にも28大学をランクインさせ、米国大学教育優位を印象づけている。
日本の大学で上位100位に入ったのは、東京大学が31位(昨年32位)で最高位。以下、京都大学36位(昨年35位)、大阪大学55位(昨年55位)、東京工業大学68位(昨年66位)、東北大学71位(昨年75位)と100位以内に昨年より1大学減の5大学が選ばれた。
こうした結果から「グローバル化が進む中、世界の大学が有能な人材の争奪戦を繰り広げ、日本が取り残されかねない」と文部科学省は危機感を抱き、「大学改革と国際化を断行し、国際通用性、ひいては国際競争力の強化に取り組む大学の教育環境の整備支援を目的」とし、今年春に“スーパーグローバル大学(SGU)創世支援”の申請を受け付けていた。全国で109の大学が申請し、各大学の構想内容、学生・教員の外国人比率の向上、入試改革、留学生と日本人学生が一緒に住める環境の整備など41項目の評価を行なって審査した。
その結果、9月26日に文科省・日本学術振興会は、世界トップレベルの教育・研究を目指す「SGU」37校を国内で選定・公表した。1大学当たり毎年1~4億円の資金を国が10年間投入して37大学の国際競争力を強化する。選ばれた大学の学生・教員数は合計で約63万人、国内全大学の20%を占める。これら大学は国際ランキング・ベスト100入りなどを目指す。
SGUは「トップ型(A)」と「グローバル化けん引型(B)」の2種類。Aは世界の大学トップ100入り、Bは日本社会のグローバル化を推進する大学を目指す。補助金は各大学のグローバル化事業を支援するのが狙いだ。
東京大学、京都大学、名古屋大学など国立大7校がAに認定、私立2校もAに入った。Bには国立10校、公立2校、私立12校、計24大学が選ばれた。
ただ、今回の「SGU事業」について、文部科学省は、「国際化(internationalization)」と「グローバル化(globalization)」の違いを理解せず、「混同しているのでは」という批判の声が上がっているのも事実。つまり、文科省は「大学の国際化」とは別の「大学のグローバル化」、つまり“大学教育の均質化”を求めているのか、という批判である。
また、今回の「SGU大学」事業の公募だけでなく、大学への資金提供で「改革」を促す文科省の同種の事業が続くことを示唆する声もある。大学はどこも予算の減額には敏感だ。予算を獲得するために、教育現場を文科省の好みに沿った恰好で、「改革という名のもと、均等化する大学」が、ますます増えそうだ。
同時に、今回「SGU」に選定されなかった大学の受験生減少も心配される。(編集担当:吉田恒)