【日経平均】「SQ週の水曜」は主力銘柄総崩れで187円安

2014年10月08日 20:22

 7日のNYダウは272ドルの大幅安で約2ヵ月ぶりの安値。NASDAQは69ポイント下落した。引き金を引いたのはIMFの世界経済成長見通しで、7月発表から2014年は0.1ポイント、2015年は0.2ポイント引き下げ、先進国では日本、ユーロ圏を下方修正。そのユーロ圏の経済を引っ張るドイツの8月の鉱工業生産指数は前月比4.0%減と大幅悪化。序盤から始まった売りは午後も止まらず、主要企業決算への懸念も浮上しリスクオフ。ダウ30種はコカ・コーラ以外全て下落し、下落幅が大きいのは3.37%のキャタピラー、2.69%のユナイテッド・テクノロジーなど。債券が買われ長期金利が低下してドル安円高が進行し、8日朝方の為替レートはドル円は108円近辺、ユーロ円は136円台後半だった。

 CME先物清算値は15520円。取引時間前に発表された8月の経常収支は2871億円の黒字、9月上中旬の貿易収支は7682億円の赤字。IMFは日本の2014年のGDP成長率を0.7ポイント下方修正し0.9%としたが、前日の黒田日銀総裁の記者会見は「所得から支出へという前向きな循環メカニズムはしっかり作用し続けている」と依然強気の〃黒田節〃炸裂。「孤高の鳥」とはこの人のことかもしれない。

 ノーベル物理学賞を日本人研究者3人が受賞したお祝いムードを欧米市場の株安と為替の円高が吹き飛ばしそうで日経平均は209.23円安の15574.60円と大幅安で始まる。TOPIXは17ポイントを超える大幅下落。午前9時29分に15600円にタッチしても9時52分に15520円まで下落。その後はおおむね15550~15600円のレンジで動く。10時30分に国慶節休暇を終えた上海市場が1週間ぶりにプラスで再開。香港ハンセン指数はマイナスで始まるが日経平均は特に反応なし。振れ幅が次第に縮小し前引けは15552円だった。

 後場は少し高く15568円で再開。午後1時50分頃まで前場と同じ15550~15600円のレンジで小動きするが、2時前に15620円近辺まで上昇する。2時に9月の景気ウォッチャー調査(街角景気)の結果が発表され、現状判断は47.4で8月から横ばいで市場予測の48.5を下回り、先行き判断は48.7で8月の50.4から1.7ポイントも低下して4ヵ月連続の悪化。景気の先行きに悲観的な見方がひろがっていた。ドル円は追加緩和期待でやや円安方向に動いたが、日経平均は15600円付近までいったん下落。しかしすぐ持ち直して2時台は高値を取りながら上昇し2時23分に15643円まで上昇。しかし終盤は押し下げられて15600円台を維持できず、やはりSQ週の水曜日。大引け前に売買が交錯し少し乱高下したが終値は187.85円安の15595.98円で続落。日中値幅は123円。TOPIXは-16.04の1274.85だった。売買高は22億株、売買代金は2兆1732億円で大台に乗せていた。

 値上がり銘柄は326、値下がり銘柄は1437で全体の78%を占めた。上昇セクターは1業種、下落セクターは32業種。値上がりは水産・農林のみ。値下がりで下落幅が小さいのは繊維、食料品、証券、陸運、金属製品など。下落幅が大きいのは鉱業、輸送用機器、精密機器、機械、ゴム製品、海運などだった。

 日経平均採用225種は値上がり30銘柄、値下がり192銘柄。プラス寄与度1位は中外製薬<4519>で+2円、2位はKDDI<9433>で+1円。マイナス寄与度1~3位はソフトバンク<9984>、ファナック<6954>、ファーストリテイリング<9983>の順で、先物主導で下がったのを反映し「御三家」が揃い踏み。合計で-44円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>1.9円安、三菱UFJ<8306>4.4円安、三井住友FG<8316>91円安とふるわなかったが、銀行セクターではあおぞら銀行<8304>が売買高7位で14円高。野村HD<8604>が0.9円高、ジャフコ<8595>が10円高など証券セクターは業種別騰落率4位と健闘した。逆に輸送用機器セクターは業種別騰落率32位と不振で、トヨタ<7203>は114円安、ホンダ<7267>は50円安、富士重工<7270>は75.5円安、マツダ<7261>は99円の大幅安。電機大手はソニー<6758>は後場プラスに浮上し2円高でも東芝<6502>は2.1円安、日立<6501>は26.6円の大幅安、シャープ<6753>は3円安。NEC<6701>はレノボからパソコン生産移管と伝わったが4円安。パソコンの現在はスマホの未来。

 コニカミノルタ<4902>は野村證券がレーティングを引き上げ8円高。ツガミ<6101>は4~9月中間期の営業利益が前年同期比5.7倍の45億円前後という業績観測記事が出たが11円安。建機メーカーの竹内製作所<6432>は欧米で販売好調で2月期通期の営業利益見通しを60億円から96.4億円に上方修正。ところがその根拠が為替の円安なので、円高が進んだ日に当たっためぐり合わせの悪さで400円、8%という大幅安。発表した時が悪いのか、それとも前提条件が悪いのか。

 KDDIは売買代金13位で22円高と逆行高。住友金属鉱山<5713>は後場一段高になり32.5円高。前日華々しかった富士フイルムHD<4901>は売買代金5位でも74.5円安。それでも中外製薬は75円高、大日本住友製薬<4506>は10円高など医薬品セクターは比較的しっかり。ベルギーと北アイルランドのたばこ工場を閉鎖すると報じられたJT<2914>は35円安。セビージャだったらリストラされる女子工員同士の大ゲンカになる? 味の素<2802>は野村證券が目標株価を引き上げ19.5円高で年初来高値更新。アサヒGHD<2502>は17.5円高。ディフェンシブ系はおおむね堅調で、日本水産<1332>が13円高など水産・農林セクターは業種別騰落率が唯一のプラスで1位だった。

 Jフロントリテイリング<3086>の3~8月中間期決算は、営業利益は3%増で経営統合後の過去最高益を更新しても45円安。2月期通期見通しは売上高を下方修正したが営業利益、純利益は据え置いた。主力銘柄総崩れの日に逆行高した業態が「食品スーパー」で、ヤオコー<8279>は110円高、カスミ<8196>は18円高、マルエツ<8178>は23円高で値上がり率15位、平和堂<8276>は中間期決算の経常利益10%増を好感され80円高で値上がり率17位で、4銘柄とも年初来高値を更新した。しかしイオン北海道<7512>は50円安で値下がり率3位。やはり「ローカル・アベノミクス」は必要か?