【日経平均】ドル円が110円にタッチしてもヘタれて91円安

2014年10月01日 20:18

 9月30日のNYダウは28ドル安と続落し、NASDAQも12ポイント下落した。ユーロ圏の9月の消費者物価指数(HICP)速報値が0.3%上昇で2009年以来の低い伸び。これで2日のECB理事会での追加緩和期待が高まりヨーロッパ株は上昇したが、アメリカではS&P/ケース・シラー住宅価格指数が市場予測を下回り、シカゴ購買部協会景気指数もCB消費者信頼感指数もマイナスで景気先行き不透明感でNYダウは下落した。マーケットでは経済指標は場面場面で都合がいいように解釈される。新型iPhoneの中国での発売日が10月17日と決まったアップルは、アイルランド政府から受けている税制優遇を欧州委員会が公平ではなくEU規定に違反するという見解を出したが0.6%上昇。10月1日朝方の為替レートはドル円が109円台後半、ユーロ円が138円台前半で、対ドルは円安、対ユーロは円高が進行していた。

 CME先物清算値は16200円。取引時間前に9月調査の日銀短観が発表され、大企業製造業の業況判断指数(DI)は6月調査の+12を上回る+13で市場予測の+10を上回った。12月調査の先行き予想は+13で横ばい。大企業非製造業のDIは6月調査の+19を6ポイント下回る+13で市場予測の+17を下回った。先行き予想は+14。日銀短観は実数データではなく企業アンケートによるセンチメント指標なので単純比較はできないが、前日の鉱工業生産指数、商業販売統計の小売業販売額とは真逆に「製造業はポジティブ、非製造業はネガティブ」という結果が出た。

 月が変わって「下半期」始まりの日。ニューマネーの流入も期待される10月1日の日経平均は0.13円安の16173.39円とほぼ横ばいでスタート。TOPIXもわずかなマイナスで始まった。しかし、日経平均は直後わずか3銭高のプラスにタッチした後はズルズル下落し午前9時34分に16096円まで下げ16100円割れ。TOPIXも同時に1320割れ。それでもV字回復し9時台のうちに日経平均は前日終値16173円寸前まで、TOPIXは1324台まで戻し底堅い。その後は30円安前後の16140円台で落ち着く。10時に中国国家統計局の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されて51.1で前月比で横ばい。市場予測とも一致した。10時20分頃から日経平均もTOPIXも急上昇してプラスに浮上する。上海、香港市場は「国慶節(建国記念日)」の祝日で休場で、買い材料はもっぱら為替のドル円が円安方向に大きく振れ110円の大台にあと6銭まで接近したこと。先物主導で日経平均寄与度が大きい銘柄を中心に上昇が続き16200円もあっさり突破して10時35分に16213円まで上昇するが、そこで為替とともに株価も一服。11時台になるとドル円はとうとう6年1ヵ月ぶりに110円にタッチし、日経平均も11時16分に16225円の高値をつける。前引けは16214円だった。

 後場はほぼ前引け水準の16210円で再開。午後0時台はまだプラスだったが、1時を回るとマイナスに落ちる。1時台は16140~16170円のレンジで推移するが、2時台前半には16100円近辺まで下落していく。為替のドル円は109円90銭台を保っていたが、東証1部は値下がり銘柄のほうが数で優勢になった。終盤は16120~16140円のレンジを大引けまで引っ張ることができず、16100円を割り込んで安値更新が続き、安値引けではなかったが終値は91.27円安の16082.25円で続落。日中値幅は144円。TOPIXは-8.08の1318.21。売買高は22億株、売買代金は2兆1418億円で、2日連続で大台に乗せた。

 値上がり銘柄は570、値下がり銘柄はその倍の1136で全体の62%を占めた。6業種が上昇し27業種が下落。プラスのセクターは水産・農林、倉庫、陸運、小売、繊維、銀行。マイナスのセクターはその他金融、証券、機械、金属製品、鉱業、電気機器などだった。

 日経平均採用225種は値上がり53銘柄、値下がり163銘柄。プラス寄与度1位はNTTデータ<9613>、2位はテルモ<4543>でともに+3円。マイナス寄与度1位はTDK<6762>、2位はダイキン工業<6367>でともに-6円。珍しく「御三家」がいなかった。

 みずほ<8411>は前日、全職員一律で0.5%の賃上げに踏み切る方針を固め0.2円高。約3万人を対象に異例の今年2回目の賃上げ。この日は来春入社予定者の内定式。優秀な人材を獲得するためにも他のグループに給与水準を合わせたいという。その三菱UFJ<8306>は0.2円安だが三井住友FG<8316>は47円高で銀行セクターは業種別騰落率がプラス。対照的に証券セクターは業種別騰落率32位と悪く、野村HD<8604>は9.4円安、大和証券G<8601>は13.6円安、松井証券<8628>は9円安だった。

 2時に発表された9月の新車販売台数は、登録車は前年同月比2.8%減、軽自動車は2.5%増で、登録車は2ヵ月連続マイナス、軽自動車は3ヵ月ぶりにプラスに転じた。トヨタ<7203>はJPモルガンがレーティングを引き上げ37円高で年初来高値を更新したが、それ以外の自動車大手は軟調でホンダ<7267>は56.5円安、富士重工<7270>は82円安、マツダ<7261>は28円安、日産<7201>は20円安。軽の販売台数がプラスに転じてもスズキ<7269>は96円安だった。

 パナソニック<6752>は、スペインの自動車部品大手のフィコサとの提携と株式の49%取得、茨木工場の大和ハウス工業<1925>への売却決定、パナソニックビジネスサービスのパソナG<2168>への売却とニュースが多かったが7.5円安。しかし事業再編でやりたいことは一貫している。ソニー<6758>は22.5円安、東芝<6502>は4.8円安、NEC<6701>は8円安、政府の「次世代スーパーコンピュータ」開発に参加する富士通<6702>は7.4円安だったが、日立<6501>は4.3円高と逆行高。ATMのOKI<6703>は売買高5位に入り10円高だった。