【日経平均】雇用統計が良くても16000円に届かず182円高

2014年10月06日 20:18

 前週末3日のNYダウは208ドルの大幅高で5日ぶりに反発し17000ドルの大台を回復。NASDAQ総合指数は45ポイント上昇した。注目の9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比24.8万人増で8月改定値の18万人増より伸びが拡大し、市場予測の21.5万人を3.3万人も上回った。失業率は5.9%で8月比0.2ポイント低下し、6%を割り込んだのはリーマンショック直前の2008年7月以来6年2ヵ月ぶり。景気の先行き不透明感が払拭され、しかもイエレンFRB議長が気にする「雇用の質」の時給の伸びが市場予測を下回ったことで早期利上げ観測も高まらず午前中から幅広い銘柄が買われた。JPモルガンチェースが2.5%、ゴールドマンサックスが2.8%上昇するなど金融株の上昇が顕著。6日朝方の為替レートはアメリカの長期金利が上昇してドル高円安が進んでドル円が109円台後半、ユーロ円が137円台前半。

 東京商工リサーチによると9月の企業倒産は5ヵ月ぶりに前年同月比約2倍に増加。「原材料高」が理由の倒産は前年同月の11件から21件に増えた。中小企業が、円安によるコストアップ分を内需がふるわないために吸収できずに力尽く「円安倒産」も現実味を帯びている。3日のCME先物清算値は15910円。台風18号が日本列島縦断中に「SQ週」を迎えた日経平均はNY株高、円安進行を受け173.63円高の15882.28円と大幅高で始まる。TOPIXは1300に接近するがタッチできない。日経平均は午前9時4分に15888円まで上昇するが、16000円はおろか15900円にも届かず折り返し9時11分に15808円まで下げる。その後は為替が円高方向に戻し、おおむね15840~15850円台で小動きしてもみあう。東京市場は3日のアメリカ雇用統計をそんな形で織り込み、日銀会合後の黒田総裁の記者会見待ちやSQ週への警戒ムードでなかなか上値を追えない展開。

 6日、7日は国慶節休暇で上海市場は休場。香港ハンセン指数はマイナスで始まる。民主勢力排除に映画でおなじみの「香港黒社会」まで登場し混迷は深まっていたが、香港政庁を占拠していた学生団体が封鎖を一部解除して業務がほぼ正常化するというニュースが流れてハンセン指数はプラスに転じた。ムンバイ市場はイスラム教の行事で休場。日経平均は10時台後半から上昇を開始し、台風が東京上空を通過中の11時直前に15900円を突破し高値を取ってなお上昇。TOPIXは1300台を回復。日経平均は11時21分に15926円をマークし、前引けは15912円だった。

 午後の東京は台風一過の青空がひろがり、後場はほぼ前引け水準で再開するが午後0時38分に15951円まで上昇。その後も堅調に15900円台前半をキープして16000円にタッチする時機をうかがう。2時10分には15970円まで上昇するもののこの日の16000円タッチはお預け。2時台後半はドル円が109円台前半まで円高方向に振れたため徐々に値を下げていき、TOPIXは1300を割り、日経平均も大引け前に15900円を割り込んで終値は182.30円高の15890.95円と続伸。日中値幅は162円だった。TOPIXは+13.86の1296.40。売買高は20億株だったが、売買代金は1兆9845億円で5日ぶりに2兆円を割り込んだ。

 東証1部の値上がり銘柄数は1571で全体の85%を占め、値下がり銘柄数は194。33業種別騰落率は上昇32業種、下落1業種だった。プラスセクター上位は非鉄金属、その他金融、機械、電気機器、ゴム製品、輸送用機器など。下位は電気・ガス、不動産、卸売、陸運、情報・通信など。マイナスセクターは鉱業だった。

 日経平均採用225種は値上がり194銘柄、値下がり22銘柄。プラス寄与度1位は柳井正CEOがインタビューで「アジア戦略では地方都市、低価格品に重点を置く」と話したファーストリテイリング<9983>で+18円。野村證券がレーティングと目標株価を引き上げた。2位はKDDI<9433>で+11円。マイナス寄与度1位は花王<4452>、2位は住友不動産<8830>で、ともに-1円だった。

 みずほ<8411>は1.7円高。三菱UFJ<8306>は11.2円高、三井住友FG<8316>は19円高とメガバンクは揃って上昇。証券セクターも野村HD<8604>は1.8円高、大和証券G<8601>は5.6円高と復調。輸送用機器セクターは業種別騰落率6位で、トヨタ<7203>は93円高、日産<7201>は12.5円高、富士重工<7270>は93.5円高、ホンダ<7267>は66.5円高、マツダ<7261>は74円高。しかしスズキ<7269>は19.5円安で、これで7日続落。デンソー<6902>は東海東京調査センターがレーティングを2階級特進させ51.5円高だった。

 電気機器セクターは業種別騰落率4位。パナソニック<6752>に3つの話題あり。アメリカ・ネバダ州にテスラ向けのリチウムイオン電池を生産・販売する新会社を設立と発表。そのリチウムイオン電池で最小の円筒型モデルを開発。大阪府門真市の「本社南門真地区」のAV機器事業の本拠地を売却する方針を固めたとも報じられた。「住宅と自動車」への選択と集中を進めるためにAVは縮小され約5000人の従業員は来春配転。株価は22.5円高だった。NEC<6701>は「マイナンバー」関連の材料があり売買高8位に入り19円高と5.23%上昇。日立<6501>は21.8円高。東芝<6502>は手話ができるヒト型ロボットを大阪大学などと共同開発と報じられ売買高7位に入り12.8円高。富士通<6702>は18.9円高だった

 日経新聞でジャパンディスプレイ(JDI)<6740>、TDK<6762>、ソニー<6758>、ミツミ電機<6767>、村田製作所<6981>などがスマホ向け部品を一斉に増産し、ファーウェイや小米(シャオミ)など中国の端末メーカーのニーズに対応すると報じられた。主力工場を4割増産し今期の中国スマホ向け売上高が約2.7倍の約1800億円になる見通しのJDIはUBSがレーティングと目標株価を引き下げたが5 円高、TDKは40円高、ソニーは42円高、ミツミ電機は33円高、村田製作所はUBSが目標株価を引き上げ190円高だった。アップルが「新型iPadを16日に発売」という情報が流れていた。

 ニコン<7731>はゴールドマンサックスがレーティングを引き下げ17円安。古河電工<5801>はUBSがレーティングを引き下げ値動きなし。セイコーHD<8050>は4~9月中間期の営業利益が8%減の80億円前後だが従来予想の60億円よりも減益幅縮小という観測報道で38円高で値上がり率4位。工業用ミシンのJUKI<6440>は35円高で値上がり率2位、半導体マスク欠陥検査装置のレーザーテック<6920>は101円高で年初来高値を更新し同6位、ペットボトル成形機の日精エー・エス・ビー機械<6284>は156円高で同9位と、設備投資関連の生産財メーカーが盛んに買われていた。パイロット<7846>は1000円前後の低価格の万年筆を増産するというニュースを好感され310円高だった。