オムロンのスポットチェックモニタ「HBP-1600」の進化は止まらない

2014年10月16日 21:04

HBP-1600

日本で初めて血圧や体温、SpO2(動脈血酸素飽和度)などの測定バイタルデータを電子カルテに自動転送する「HBP-1600」。その進化は止まらない

 オムロン・ヘルスケアは、血圧や体温、SpO2(動脈血酸素飽和度)などの測定バイタルデータを電子カルテに自動転送する「スポットチェックモニタ HBP-1600」に、新たに無線通信機能搭載の血糖計や体重計の測定データを電子カルテに自動転送する機能などを搭載した機能拡張版を、2014年7月18日から発売している。その実機が「CEATEC JAPAN 2014」に出展され、2012年グッドデザイン賞を受賞した医療機器に改めて触れる来場者が多かった。販売は、医療機器販売会社であるオムロン・コーリンが行なう。

 近年、電子カルテを導入している医療機関が増加している。しかしながら、血圧や体温といった患者のバイタルデータを測定(スポットチェック)し、カルテへの入力は、1日に2~3回看護師が測定してメモをとり、その後電子カルテに手作業で入力・転記をする必要がある。そこにおける入力作業の業務負担増、データの転記ミスや入力間違い、入力漏れの発生は避けられない問題だ。

 オムロンは、「より充実した看護ケアと、安全な医療環境づくりのサポート」をコンセプトに、2012年2月20日に日本で初めて血圧や体温、SpO2(動脈血酸素飽和度)などの測定バイタルデータを電子カルテに自動転送するHBP-1600を発表した。以来、全国の大学病院、基幹病院を中心に約1500台が納品され稼働している。

 HBP-1600の導入後に医療施設の看護師に対して行なったアンケート調査で、「測定データの入力業務軽減」「測定データの電子カルテへの入力ミス・漏れの防止」、「医師や他のスタッフとの測定データのタイムリーな情報共有」が支持されていることが分かったという。また、患者ひとりあたりの電子カルテへの測定データ入力業務にかかる時間も、HBP-1600導入前に平均26秒かかっていたが、導入後には平均8秒と大幅に短縮されたという。

 今回、CEATECで展示された新型は、新たに他社製の無線通信機能搭載の血糖計や体重計に対応。他社製品との連動を強化した。これまでもUSB通信機能を搭載した他社製の血糖計は利用できたが、新たにRFID(Radio Frequency Identification/電波による非接触通信とICチップを利用した非接触認証技術)を内蔵した他社製血糖計との連動が可能となった。血糖値測定後、血糖計をスポットチェックモニタ本体にかざすだけで、測定データが転送されて本体画面に表示。データを確認後、スポットチェックモニタ本体の送信ボタンを押すと測定データは電子カルテに転送できる。

 加えて体重計のデータ取り込みソフトにも対応を開始。専用の受信モジュールと組み合わせて使うことで、ZigBee通信機能を搭載した他社の身長体重計などで測定したデータを、電子カルテに転送する。

 オムロンによれば、HBP-1600未導入に医療関係者から「自分で測定しない、数字が勝手に転送されることで、“考えない看護”になるのでは?」という質問が多いという。しかし、「患者のバイタルデータを測定するのは、あくまで“手段”で、自動記録されたデータを“読み解く看護”に発展できる」と説明するという。(編集担当:吉田恒)