エボラ出血熱猛威 世界での二次感染の現状と今後の感染予測は?

2014年10月20日 08:34

 今年4月頃からギニア、リベリア、シエラレオネなど西アフリカの国々で感染が続くエボラ出血熱。その猛威は弱まるどころか、半年が経過した今、さらに感染が拡大し世界各地に二次感染をももたらしつつある。10月中旬時点での、世界での二次感染の現状や、今後の感染予測をまとめてみた。

 アメリカ・テキサス州の病院では、エボラ出血熱で死亡した患者の治療に関わった女性が二次感染し、同じように治療にあたっていた76人の医療従事者も感染の疑いがあるとして監視を行っている。爆発的に感染が増えている西アフリカに比べ、医療設備・衛生環境が整っていると言われる先進国ですら、完全に二次感染を防ぐことは難しい現状が浮き彫りになった。

 テキサス州で二次感染してしまった看護師は、防護服を着て治療を行っていたが、患者が人工透析器や人口呼吸器を必要としていたこともあり、そうした医療行為の中で患者の体液にふれてしまったのではないか、との見方が強い。アメリカ国内の看護師連合団体からは、「より適切な防護指導・訓練や、高レベル防護服などの備品・設備が必要」との声明も出されている。

 また、スペインでも、リベリアとシエラレオネでの感染患者を受け入れた病院の看護師が二次感染している。防護服の着脱や、体液の付いた手袋の処理などに不備があったのではないかと調査が行われている。いずれにせよ、患者を受け入れる側の国でも、防護について十分な訓練が行われないままでは、今後も二次感染が広がっていく可能性は高い。

 10月14日の世界保健機構(WHO)の発表によれば、現在疑いのある症例も含め、エボラ出血熱感染者数は把握できているだけでも8914人。内死亡者は4447人で、数字上の死亡率は50%だが、実質的には70%に上るだろうと言われている。8月1日時点でWHOが発表した死亡者数は887人だった。2ヶ月半で5倍という、恐ろしい勢いで拡大していることが分かる。また、WHOはリベリアやシエラレオネから、コートジボワールなど周辺国にも拡大の恐れがあり、このままでは今年の12月には1週間に1万人ペースで新規感染者が増える可能性もあると発表した。

 日本国内では、万が一エボラ出血熱感染者が出た場合は、「1類感染症」に対応できる全国45ヶ所の医療機関が治療に当たることになっている。各医療機関では、もしもに備えた訓練が開始されているようだが、まだ国を挙げての二次感染を防ぐ為のガイドライン作成などはなされていない。国内での対策はもちろん、世界が一丸となり、大規模な感染防止対策を講じなければならない時期に来ている。(編集担当:久保田雄城)