【日経平均】日中値幅は下げる一方の301円で205円安続落

2014年10月17日 20:16

 16日のNYダウは24ドル安で14ヵ月ぶりの6日続落。NASDAQ総合指数は2.07ポイント上昇と小幅反発した。鉱工業生産が前月比1.0%増と約2年ぶりの大きな伸びで新規失業保険申請件数ともども市場予測より良く、セントルイス連銀のブラード総裁が「いまさら」ながらQE3の縮小停止を示唆したことなどでNYダウは午後にはプラスになる時間帯もあり、午前中よりも高く終われたのが翌日に期待をつなぐ。10月の魔物が再来したこの下げは「QE依存症患者」のマーケットが月末のFOMCでのQE3終了宣言を阻止せんと仕掛けた最後の大芝居という見方もあるが、だとしたら損失を出した投資家は浮かばれない。原油先物価格が反発しエネルギー株は上昇。48%増益決算でもゴールドマンサックスが2.63%、メルクが2.38%下落する一方でユナイテッド・ヘルスは3.93%、ナイキは2.18%上昇した。新製品発表会で「iPad Air 2」をお披露目したアップルは1.31%下落。17日朝方の為替レートはドル円が106円台前半、ユーロ円が136円台前半で、円高の進行も一服していた。

 CME先物清算値は14690円。日経平均は57.94円高の14796.32円と反発で始まり、TOPIXもプラスでスタート。午前9時5分に14800円を超え、「いよいよ本格回復をみせるか?」という期待をくじくように9時6分の高値14830円で折り返してマイナスまで落ちる。プラスに戻しても14800円には届かず、10時を回ると再びマイナス圏深く下落し10時6分に14702円まで下げる。その後はプラスに浮上したり前日終値に接近してもすぐに引き戻されるという動きを繰り返す。エボラ出血熱関連など前日逆行高した銘柄が罰でも受けるかように下げ、散発的に先物売りのタマが撃たれるたびにあっけなくヘタれる相場で、本格回復はほど遠い。上海市場はマイナス、香港市場はプラスで始まる。前日終値近辺でもみあったのは11時までで、11時台になると再び下向きに。14700円台をあっさり割り込んで14641円まで下落し、前引けは14666円だった。

 後場は一段安で再開して安値をどんどん更新。14600円台も守りきれず午後0時39分に14538円まで下げる。TOPIXも1180を割り込んだ。ドル円も円高に振れたが、「利益確定売りの金曜日」に加え追証がらみの売りも出ている模様。他の銘柄の委託証拠金差し入れのために「お宝」と見込んだ銘柄を売り払う個人投資家の心境やいかに。でも他人には「リクルートHD<6098>を買うために売ったよ」とせめてもの見栄っ張り? そのリクルートHDは上場2日目で200円以上も値を上げて好調。ドル円が円安方向に折り返すと日経平均は1時台に14600円台を回復し14650円付近まで戻すが、そのまま終われるほど地合いは甘くない。2時を回るとズルズル安が止まらず、14600円を割り込んで大引け直前の2時57分に14529円の最安値をマークして終値は205.87円安の14532.51円と続落。1勝3敗、前週末10日の終値から768.04円も下落して今週の取引を終えた。日中値幅はほとんど下げる一方で301円もあった。TOPIXは-18.28の1177.22でJPX日経400とともに安値引け。売買高は27億株、売買代金は2兆5132億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄数は259、値下がり銘柄数は1468で全体の80%を占めた。33業種別騰落率は4業種が上昇、29業種が下落。プラスのセクターは鉱業、海運、水産・農林、電気・ガス。マイナスのセクターで下落幅が小さいのは石油・石炭、不動産、パルプ・紙など。下落幅が大きいのは医薬品、ゴム製品、食料品、輸送用機器、保険、化学工業などだった。

 日経平均採用225種は値上がり28銘柄、値下がり193銘柄。プラス寄与度1位はアリババが金融事業を本格的に展開するニュースの他、「第二のアリババ」と期待してインドのネット通販大手スナップディールに出資する方針を固めたと報じられたソフトバンク<9974>で+5円、2位は東京エレクトロン<8035>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>、2位はファナック<6954>で、ともに-10円だった。

 メガバンクはふるわず、みずほ<8411>は1.8円安で年初来安値を連日更新。三菱UFJ<8306>は9円安、三井住友FG<8316>は98.5円安。野村HD<8604>は5.6円安で年初来安値を更新した。輸送用機器セクターは業種別騰落率30位と不振。自動車大手ではトヨタ<7203>がザラ場中は下げ一方と軟調をきわめ148円安。ホンダ<7267>は小型航空機用エンジンを海外の機体メーカーに供給という材料があったが30円安で年初来安値更新。富士重工<7270>は108.5円の大幅安、日産<7201>は35.2円安だった。ソニー<6758>は15.5円高と逆行高。東芝<6502>はユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)と環境配慮型都市(スマートシティー)事業で提携したが7.5円安。シャープ<6753>は売買高7位で6円安だった。

 半導体はSOX指数が上昇に転じ、東京エレクトロンは96円高。シリコンウエハーの出荷も好調でSUMCO<3436>は55円高で値上がり率8位、しかし信越化学<4063は110円安。ローム<6963>は自動車、スマホ向けLSIの売上高が堅調に推移し4~9月中間期の営業利益見通しを137億円から200億円に上方修正し、純利益は55%増ながらプラス圏に残りきれず70円安だった。

 総務省の有識者会議がNTT<9432>とNTTドコモ<9437>の「セット割」を条件付きで容認したが、NTTは94円安、NTTドコモは48.5円安。セット割を武器にしているKDDI<9433>も100円安だった。ソフトバンクも含めた携帯大手3社はアップルの「iPad Air 2」などタブレット端末新機種を10月下旬発売と発表。その当日はまた、転売のカネ儲けが目的の中国人が行列に横入りか?