IHI<7013>は4~9月中間期の純利益が49%の大幅増益という業績観測記事が出て5円高。特に航空機エンジンの交換部品が好調。中国のPMIは悪くはなかったがコマツ<6301>は17.5円安、日立建機<6305>は13円安だった。
日経新聞がゼネコン大手の4~9月中間期の業績が従来予想より上振れしそうだと報じた。大手は「選別受注」で工事を選べる状況にあり、人件費や資材価格の上昇によるコスト増は受注工事単価の上昇でカバーできるという。大成建設<1801>は7円高、大林組<1802>は2円安、清水建設<1803>は9円安、鹿島<1812>は2円高だった。一方で中小建設会社は人手不足の上に採算の悪い工事しか取れず苦しくなる。売買高ランキング常連で3位の飛島建設<1805>と4位の三井住友建設<1821>は値動きなし、5位の熊谷組<1861>は4円安。それでも値上がり率8位に大和小田急建設<1834>、9位に若築建設<1888>が入っており、苦しいのはもっと小さいところか?
WHO(世界保健機構)はエボラ出血熱の死者が7ヵ国で4877人、感染者は1万人に迫ると発表した。富士フイルムHD<4901>は売買代金4位でも38円安だったが日本エアーテック<6291>は45円高と買い戻され値上がり率11位。塩野義製薬は10%出資する抗HIV薬製造のヴィーブヘルスケアのIPOをグラクソ・スミスクラインが検討と発表し89円高で年初来高値更新と買われた。80~90年代に今のエボラ出血熱以上の大騒ぎをしたHIV(エイズ)の薬も大きな市場がある。京都大学がiPS細胞から心臓や血管などの心臓細胞シートを世界で初めて作製し再生医療への応用が期待される。関連して、子会社が京大iPS細胞研究所と共同研究契約を結んでいるアイロムHD<2372>が146円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。
中部飼料<2053>は原料価格の上昇を販売価格に転嫁できずに採算が悪化し、4~9月中間期と通期の業績見通しを引き下げ57円安で値下がり率2位。三井物産<8031>は香港の食品卸大手の捷栄国際控股(チット・ウィン)に資本参加。22億円を出資して保有比率を2割とし17.5円高。日本政府観光局は前日、1~9月の訪日外国人客数が26%増の973万人と発表。通年で1300万人に迫る勢いで過去最高の1125万人を超えるのはまず確実。4~6月の訪日外国人による国内消費額は4874億円にのぼる。それで潤う東京都心の百貨店は三越伊勢丹HD<3099>は18円高、高島屋<8233>は5円高、松屋<8237>は16円高、Jフロントリテイリング<3086>は4円安。外国人客が多い秋葉原のラオックス<8202>は2円安だった。
海運セクターはこの日も業種別騰落率トップ。商船三井<9104>は売買高8位で6円高、日本郵船<9101>は同9位で2円高、川崎汽船<9107>は同10位で3円高。ネット・コンテンツ関連ではKlab<3656>が80円高で値上がり率10位。enish<3667>が81円高。ヤフー<4689>は前日、TOBで全株を取得し自動車情報サイトを運営するカービュー<2155>を完全子会社化すると発表したが1円安。TOB価格は863円。カービューはストップ高比例配分の100円高で年初来高値を更新し、終値は766円だった。
新興市場はプラスで日経ジャスダック平均は0.21%上昇、東証マザーズ指数は2.64%の大幅上昇。マザーズのミクシィ<2121>は370円高で6.51%も上昇し、9月上場のJIA<7172>もストップ高の1500円高で高値引け。前日マザーズに新規上場したオプティム<3694>は10時46分に公開価格4000円の3.6倍の14400円の初値がついた。終値はさらに伸びて17400円。今週の新規IPOは3本全て「初値>公開価格」の3連勝。ネット系が揃ってタマが良く、16日に上場したリクルートHD<6098>に投資資金を吸い取られる心配は御無用だった。そのリクルートHDは145円安と続落し、売買代金5位で連日ランキング入りするものの4000円の大台に届いていない。
この日の主役は前日に4~9月期中間期決算を発表した日本電産<6594>。主力製品の小型モーターをHDD向けから自動車電装品用にシフトする最中でM&Aは約1年間沈黙しているが、好球待ちで「狙いはホームラン」と永守重信社長は表現した。売上高は14%増の4895億円で過去最高。営業利益は33.9%増の526億7600万円で従来予想の500億円を上回り、純利益は37%増の372億円で6年ぶりの過去最高益更新。ところが、営業利益が市場予測の529億8600万円を下回り、通期の業績、配当見通しを修正せず据え置いたため284円の大幅安を喫した。売買代金6位でマーケットの期待値が極めて高く、98点取っても先生に怒られるようなもの。凡才もつらいけど、秀才もつらいのよ。きっと。(編集担当:寺尾淳)