【日経平均】ファナックに足を引っ張られ97円高どまり

2014年10月27日 20:18

 前週末24日のNYダウは127ドル高、NASDAQ総合指数は30ポイント上昇した。「NYでエボラ出血熱の陽性反応」のニュースで朝方は前日終値をはさみ一進一退。しかし主要企業の決算を好感して尻上がりに上昇した。週間ペースでは5週間ぶりのプラスだった。マイクロソフトは2.5%上昇、UPSも0.1%上昇。P&Gは決算とともに乾電池事業を分離する方針を発表し2.3%上昇した。航空株もおおむね上昇。一方、アマゾンドットコムはスマホの不振などで赤字が拡大し8.3%の大幅下落。減益決算のフォードも4.3%下落した。ECBは26日にユーロ圏の主要銀行130行の「ストレステスト」の結果を公表し25行が資本不足だった。数は事前見通しの記事とピタリ一致し、為替市場はむしろユーロ高。27日朝方の為替レートはドル円が108円台前半、ユーロ円が137円前半だった。

 24日のCME先物清算値は15435円。ブラジル大統領選挙の決選投票はルセフ大統領が再選。ウクライナの総選挙は親欧米派が圧勝しポロシェンコ大統領は勝利宣言。日経新聞朝刊の世論調査では2015年10月の消費税率を10%への引き上げに反対は70%で賛成は23%。取引時間前に9月の企業向けサービス価格指数が発表され、前月比0.1%増、前年同月比3.5%増の102.4だった。日経平均は112.64円高の15404.28円と10月9日以来の15400円台にタッチして始まる。TOPIXも上昇して1250台を回復。しかしどちらも維持できず、午前9時7分に日経平均は15347円、TOPIXは1247.89まで下落。前場は一度も15400円にタッチできず、9時54分に15333円の安値をつけるが、大部分の時間は15300円台後半で上下動。前週悪かった中国市場は上海は5日続落、学生の道路占拠が「日常化」している香港は3日続落のマイナスで始まる。為替のドル円が108円を割り込んで円高に振れ、11時台にもう一度15333円まで下げて前引けは15348円だった。

 後場はやや高めで再開し、正午から為替が円安方向に転じると午後1時までに15400円にタッチ。ドル円は108円台に戻した。しかし9時1分の高値15414円は抜けない。2時になるとようやく高値を取って2時3分に15424円まで上昇するがそこまで。15429円が下限の日足一目均衡表の「雲」にはね返された。終盤は15400円台から滑り落ち、終値は97.08円高の15388.72円で続伸。日中値幅は91円だった。TOPIXは+11.96の1254.28。日経平均の上昇率0.63%に比べTOPIXの上昇率は0.96%と大きい。売買高は18億株、売買代金は1兆6628億円と少ない。FOMC待ち、日銀会合待ちの様子見にエボラ出血熱のリスクも意識され、さらに香港市場と上海市場の相互取引が始まらず「延期か?」と憶測を呼んで両市場とも軟調になる出来事もあって、買いのエネルギーが続かなかった。

 東証1部の値上がり銘柄数は1373で全体の74%もあり、値下がり銘柄数は355。33業種別騰落率は全セクター上昇で日経平均が伸び悩んでも実際は全面高。上位は電気・ガス、空運、鉄鋼、陸運、建設、化学工業など。下位は電気機器、倉庫、その他金融、精密機器、非鉄金属、証券などだった。

 日経平均採用225種は値上がり190銘柄、値下がり28銘柄。プラス寄与度1位はKDDI<9433>で+8円、2位はファーストリテイリング<9983>で+6円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-31円もあり、2位は中外製薬<4519>で-1円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>1.6円高、三菱UFJ<8306>3.9円高、三井住友FG<8316>28円高。2015年4月からグループ銀行内で24時間、365日いつでも振り込み、即時決済可能にすると報じられたりそなHD<8308>は8.2円高だった。横並びが三度のメシより好きな他行にはプレッシャー。証券セクターは野村HD<8604>3.3円高、大和証券G<8601>5.7円高だった。

 朝刊に国内8社の今年度の新車販売台数が当初計画を下回り2年ぶりに500万台を割り込む見通しが報じられ、後場には9月の各社の自動車生産も発表された。収益改善分の一部を取引先に還元し10月から3月まで部品納入価格の引き下げを求めない措置に踏み切るトヨタ<7203>は、9月は国内0.9%減でも海外10.3%増で44円高。ルノーと低価格車向け専用エンジンやギアボックスの共同開発を開始し新興国市場攻略の武器にする日産<7201>は、海外は1.7%増でも国内は24.9%減と深刻で0.6円高どまり。三菱自動車<7211>は国内6.8%減、海外9.0%減で13円安だった。

 今年度の新車販売台数が当初計画を下回る可能性が高いと書かれたホンダ<7267>は8.5円高だったが、同じく富士重工<7270>は14.5円安。「デミオで復活」という記事があったマツダ<7261>は12円高。ダイハツ工業<7262>は通期営業利益が25%減の1100億円程度という業績観測が出て、従来予想の5%減の1400億円を下回り27円安。エアバッグリコール問題の渦中のタカタ<7312>は、アメリカ連邦議会下院が本格的な調査に乗り出すと報じられ48円安で年初来安値更新。早く収拾したい会社の思惑とは逆に、話がどんどん大きくなっている。

 電気機器セクターは業種別騰落率最下位とふるわない。ソニー<6758>は3円安。パナソニック<6752>は2015年3月末までに子会社の三洋電機が年間約100万台をウォルマートに供給している北米のテレビ事業を船井電機<6839>に売却する方針を固めたと報じられ、不採算のテレビ事業のリストラ好感で14.5円高。船井電機も26円高だった。シャープ<6753>は電子部品が不振で、4~9月中間期の営業利益が4%の増益予想から一転、市場予測を下回る約1割減益の300億円弱という業績観測記事が出て売買高5位ながら6円安と反落した。東芝<6502>も0.2円安。2016年の電力小売り全面自由化の基盤システムの開発に乗り出したと報じられた日立<6501>は1.5円高。市場規模7兆円を超える特需。同じ記事でとりあげられたNTTデータ<9613>も60円高だった。

 中小住宅会社の物流を効率化するクラウドシステムを開発したニュースがあったNEC<6701>は10円高。日本科学技術連盟の第8回「企業の品質経営度調査」総合ランキング第1位になったコニカミノルタ<4902>は12円高。第3位は富士通<6702>で7.4円高。富士通ゼネラル<6755>は海外で好調で、通期営業利益見通しを210億円から250億円に上方修正し市場予測を上回って6期連続の最高益更新。同時に中間期も期末も配当を7円から8円に増額して30円高。JVCケンウッド<6632>はメリルリンチがレーティングを引き下げ19円安で値下がり率5位。クラリオン<6796>も27円安で同10位と連れ安した。液晶や太陽電池関連の画像検査装置のクボテック<7709>は、4~9月中間期の経常損益見通しを1億5500億円の赤字から6100万円の黒字に上方修正して56円高。堂々の値上がり率1位だった。