【日経平均】黒田総裁はいつも通りでは許されず?58円安

2014年10月28日 20:16

 週明け27日のNYダウは12ドル高で3日続伸、NASDAQは2.21ポイント上昇で、どちらも小幅上昇。S&P500は小幅マイナス。FOMC前の様子見もあり前週末の終値近辺の小動きに終始した。原油先物価格が2年4カ月ぶりの水準まで下げ、エクソンモービル、シェブロンはともに0.8%下落し、石油掘削のハリバートンは6.1%下落。決算を発表したメルクは利益が市場予測を上回り業績見通しも悪くなかったが2.0%下落。決算発表前のツイッターは2.8%安。28日朝方の為替レートはドル円が107円台後半、ユーロ円が137円近辺で、やや円高に振れていた。

 CME先物清算値は15315円。9月の商業販売統計の小売業販売額は2.3%増と悪くなかった。日経平均は25.44円安の15363.28円と小幅反落でスタート。TOPIXもマイナスで始まるが1250円台は堅持。日経平均は午前9時15分に15344円の安値をつけ、9時29分に15374円の高値をつけると、その後はその間の30円幅の小動きが10時30分過ぎまで続く。為替レートもほとんど動かず、TOPIXがプラスになっても一時的だった。

 10時30分を回り上海市場は6日ぶり、香港市場は4日ぶりの反発で始まったが、日経平均は先物主導で崩されてボックス圏を下離れし、安値を取りながらズルズル下落していく。10時50分すぎに15300円も割り込み、10時54分に15283円の安値をつける。TOPIXも1250を割った。その時間帯、日銀の黒田総裁と岩田規久男副総裁が国会に呼ばれ参議院財政金融委員会で議員の質問に答えていた。黒田総裁はいつも通りの自信と強気で、株価を下げそうな内容の発言は特に見当たらなかったが、その「いつも通り」がいけないのか? それとも岩田副総裁が日銀の目標「2年程度で2%の物価上昇」ついて「電車の時刻表のようにはできない。不確実性が大きい」と発言したのがお気に召さなかったのか? 静けさを破られ、こんな根拠不明確な「ゲリラ急落」に見舞われること自体、傷んだ需給はまだ癒されていないらしい。少し落ち着いたと思えば11時台にもズルズル安が再発して11時22分に15263円まで下げ、前引けは15271円。日中値幅は111円まで拡大した。

 後場はやや高い水準で再開するが、15300円台にタッチしてもなかなか定着しない。それでも午後1時20分すぎにはようやく定着して15320円付近まで上昇する。為替のドル円レートも正午頃に反転して円安方向に進み、TOPIXも1250台に戻った。しかし日経平均は徐々に上げてもせいぜい15350円近辺まででプラスにはほど遠い。中国の1~9月の工業利益は7.9%増で1~8月の10%増から伸びが鈍化した。FOMC待ち、日銀会合待ちの様子見が根強く、日経平均は終盤も上値を抑えられ終値は58.81円安の15329.91円で3日ぶりに反落した。日中値幅は111円。TOPIXは-2.28の1252.00。売買高は18億株、売買代金は1兆6956億円と少なかった。

 値上がり銘柄は639、値下がり銘柄は1033で全体の56%を占めた。13業種が上昇して20業種が下落。プラスのセクターの上位は電気・ガス、食料品、鉄鋼、陸運、証券、医薬品など。マイナスのセクターの下位は非鉄金属、石油・石炭、鉱業、建設、機械、ガラス・土石などだった。

 日経平均採用225種は値上がり93銘柄、値下がり122銘柄。プラス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で+3円、2位はアステラス製薬<4503>で+2円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-30円、2位は続落のファナック<6954>で-7円だった。

 メガバンクはマイナスの時間帯もあったがみずほ<8411>0.1円高、三菱UFJ<8306>2.9円高、三井住友FG<8316>2円高。野村HD<8604>は3.3円高。松井証券<8628>は朝方に4~9月期決算を発表し経常利益33.8%減で9円安だった。トヨタ<7203>は23円安、ホンダ<7267>は24.5円安、富士重工<7270>は40円安、マツダ<7261>は32円安など自動車大手は軒並み安。タカタ<7312>は事態は少しも改善していないが押し目買いが入って下げ止まり36円高だった。ソニー<6758>は15円高と反発したがシャープ<6753>は3円安、日立<6501>は6.8円安、東芝<6502>は0.7円高と電機大手も不振。富士通<6702>は2015年からベトナムでITを使った農業支援事業を始めると報じられたが15.5円安。

 村田製作所<6981>は4~9月中間期の営業利益見通しを710億円から890億円に、純利益見通しを43%増の680億円に上方修正しても10円安。電話機、交換機の中堅メーカーのナカヨ<6715>は4~9月中間期と通期の業績見通しを下方修正して48円安で値下がり率1位。住友電工<5802>と三菱化学はノーベル賞の「青色発光ダイオード」の材料「窒化ガリウム」を電力制御用などに使われるパワー半導体に応用する研究を行うと報じられたが住友電工は29円安、三菱ケミカルHD<4188>は0.5円高。そのパワー半導体が好調な富士電機<6504>は4~9月中間期の営業利益が約2倍の60億円前後という観測記事が出たが3円安だった。航空機と特殊車両の新明和工業<7224>は通期の営業利益見通しを前期比21.8%減益の85億円から1.2%増益の110億円に上方修正したが9円安。三井造船<7003>は4~9月中間期の業績見通しを上方修正し売買高11位に入ったが4円安と、好材料が結果につながらない銘柄がゾロゾロ。

 NTTドコモ<9437>は通期の営業利益が6500億円前後まで減少し、上場以来初めて携帯大手最下位(第3位)に転落という業績観測が出て6.5円安。割引などスマホの販促費用に加え音声通話定額プランも収益を圧迫したという。KDDI<9433>は30円高と続伸し年初来高値更新。グリー<3632>とのコラボも好感されている。薩摩川内市議会と市長が川内原発の再稼働に同意して九州電力<9508>は40円高。次は鹿児島県議会と県知事の同意が必要。東京電力<9501>は9円安と利益確定売りされたが、それでも売買高1位、売買代金3位で、電気・ガスセクターは前日に続き業種別騰落率1位だった。

 鹿島<1812>は4~9月中間期決算を1時30分に発表したが、通期の純利益見通しを170億円から33%減益の140億円に下方修正したため急落し、売買高6位、売買代金12位でも31円安で値下がり率9位。JFEHD<5411>は2時に4~9月中間期決算を発表し経常利益23.6%増。通期の経常利益も1800億円から2000億円に上方修正と発表すると急伸し売買代金16位に入り48.5円高。化学メーカーの関東電化工業<4047>は東海東京調査センターが新規に最上位のレーティングをつけて36円高で値上がり率3位。粘着テープなどの工業用粘接着素材のリンテック<7966>は、4~9月中間期の営業利益が2割増の80億円前後という業績観測が出たが10円安だった。