「16時間以上も仮眠なしで働き、日々疲れる」「夜勤では休憩が取れなくても当たり前という体制を、これ以上続けてほしくない。体がボロボロです」。これらはいずれも、現役の看護師たちから寄せられた声だ。日本医療労働組合連合会が今年2月、公表した調査報告書によると、看護師の7割強が、「疲れが翌日に残ることが多い」「休日でも回復せず、いつも疲れている」などの「慢性疲労」状態にあるという。2009年の前回調査から4年が経つが、看護師の4人に3人が慢性疲労状態で働いている過酷な実態は、ほとんど改善されていない。
「看護職員の労働実態調査」は、昨年9~11月にかけて、全国の看護職員約6万人を対象に実施。3万2372件の調査票を回収し、医労連が結果を分析した。報告書では、看護師の過酷な勤務実態が改めて浮き彫りになった。1年前に比べた仕事量は、「大幅に増えた」が21.9%と2割を超え、「若干増えた」(37.7%)と合わせて6割が「増えた」と回答している。年齢や勤続年数が増すほど「大幅に増えた」とする比率が高く、勤続年数の短い層が多い職場で、ベテラン層に負担がのしかかっている可能性もある。
看護師らに「健康の自覚症状」を回答してもらったところ、「全身がだるい」が54.8%、「腰痛」が45.2%と高く、「なんとなくイライラする」や「憂鬱な気分がする」(それぞれ33.3%)、など、精神的な症状も高い割合で見られた。88年の第1回調査と比較すると、「全身がだるい」は18.2ポイントも増加している。疲れが取れないからか、「いつも眠い」も38.3%にのぼった。
過酷な勤務から、仕事を辞めたいと「いつも思う」(19.6%)、「ときどき思う」(55.6%)とを合わせて75.2%、実に4人に3人の看護師が「仕事を辞めたい」と思いながら働いている。仕事を辞めたいと「いつも思う」比率は、時間外労働が多いほど、休憩が取れないほど高かった。理由を3つまで回答してもらったところ、トップは「人手不足で仕事がきつい」(44.2%)、次いで「賃金が安い」(33.9%)、「思うように休暇が取れない」(33.3%)、「夜勤がつらい」(31.6%)、「思うような看護ができず仕事の達成感がない」(27.8%)と続く。過酷な長時間労働が常態化し、看護師らの「業務量は限界に近いところまできている」(医労連)。慢性的な人手不足が解消されない限り、医療現場の労働環境改善は望むべくもない。(編集担当:北条かや)