年明けにも原発再稼動か。市民レベルでできる内部被ばく防護に注目

2014年11月01日 18:12

 新しい規制基準のもとで九州電力が目指している、川内原発(鹿児島県薩摩川内市久見崎町)の再稼働をめぐり、原発の是非についての議論が白熱している。計画通りに進めば、新しい規制基準によって全国で初めて再稼動することになりそうだが、現状は原子力規制委員会の会合で、設備の耐震性などについて「説明が不足している」などの指摘が相次ぎ、認可が先送りされており、まだ時間がかかるとみられている。このため、認可が下りるのは来月以降、また地元の同意が得られた場合でも、再稼動は年明け以降になる見込みだ。

 また、安倍晋三政権は原発再稼動を優先課題に掲げていることからも、河内原発が再稼動すれば、それを契機に全国各地の原発でも再稼動の動きが活発になりそうだ。ここのところ閣僚の辞任騒動などで支持率の低下している安倍政権にとって、原発再稼動は良くも悪くも大きな転機となるだろう。

 しかし、どちらに転んでも一般市民にとっては難しい問題だ。原発が生活にもたらす恩恵は大きくとも、命に関わる大事故に?がる可能性が捨てきれない以上、いくら新基準を満たしているとはいっても安心できるものではないし、易々と承諾できるものでもない。とくに心配なのが、大気や食品等を介して放射性物質が体内に侵入する、いわゆる内部被ばくの可能性だ。ひとたび事故が起これば、その被害は被災地だけでなく日本全国に及ぶ。対岸の火事では済まされないのだ。実際、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により、広範囲に飛散した放射性物質の内部被ばくの可能性が未だに心配されており、たとえ充分に検査された安全な品物であっても、被災地近辺が産地というだけで敬遠されがちになってしまっているのが現状だ。

 ところで、内部被ばくの予防や一度体内に取り込んでしまった放射性物質の低減を図ることはできないものなのだろうか。これについては、株式会社山田養蜂場が運営する「みつばち健康科学研究所」が、2012年に大変興味深い研究報告を発表している。同社では、2008年度に「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」を設立し、予防医学的研究をさらに発展させることを目的に、幅広い視野をもつ研究者による創造的で有用な研究テーマを支援しているが、この2011年度の採択者である榎本秀一教授(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)の研究テーマ「放射線核種による内部被ばくに対するミツバチ産品の防護効果」において、原発事故が起こった際、主に問題となる3つの放射性物質、セシウム、ヨウ素およびストロンチウムの内部被ばくモデルマウスを用いて、放射性物質の代謝について分子イメージング試験を行った結果、「ローヤルゼリーを予防的に摂取することで、体内に取り込まれた放射性物質の蓄積が抑制され、排出が促進される」可能性が示されたという。

 ローヤルゼリーのほかにも、食物繊維の豊富な食物や抗酸化作用を持つビタミンなどを摂取することで内部被ばくを軽減する可能性が期待できるという。1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリでは、内部被ばくを予防するためにリンゴの食物繊維べクチンが使用されている。日本人も産地だけで単純に判断したり、敬遠したりするのではなく、予防や軽減という考え方を持つことも必要なのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)