日本労働組合総連合会は、10月17日、来年度春闘で定期昇給分の2%に加えて、さらに2%以上のベアを要求する基本構想を発表した。今春闘で一部にてベアが実施されたものの、物価上昇によって実質賃金は低下している。
日本労働組合総連合会(連合)は10月17日、第13回中央執行委員会にて、来年度の春闘で2%以上のベースアップ(ベア)と定期昇給についての要求を含む基本構想を発表した。ベアは基本給に対して実施されるもので、定期昇給は勤続年数に応じて賃金が上がる仕組みに掛けられる。ベア要求は今春闘に続いて2年連続となる。
5年ぶりのベア要求となった今春闘では、政府や経済界、労働団体の代表者が集まって話し合う政労使会議を経て、昨年12月に経済界に対する賃上げ要求の合意文書がまとめられた。この要請に企業側が応じる形で、一部でベアが実施された。連合の調べによると、7月の最終集計では5,861労働組合のうち、2,386組が定期昇給やベアなどの賃上げが行われたと回答した。
しかし消費税増税の影響から実質賃金は低下となり、労働者にとって厳しい状況は依然として変わらない。そのため来年度には今春闘のベア1%以上をさらに上回る2%以上の要求が妥当だとした。連合の古賀伸明会長は記者会見に応じ、来年度のベア要求に関して、相次ぐ物価上昇に国民の生活が圧迫されていることを指摘。「個人消費を喚起するためには賃金水準を引き上げることは重要だ」と見解を述べた。
基本構想では定昇分が2%と、それに加えてベア2%以上の要求となっている。燃料をはじめ、原材料費の高騰が続く中、来年度には消費税10%も検討されており、増税が実施されれば生活はさらに辛さを増す。だが企業の方も同じ条件のもと厳しい経営を迫られており、円安による打撃も加わって業績が悪化しているところもある。消費を促したい安倍政権は賃上げに肯定的だが、労使交渉での激しいぶつかり合いは避けられないだろう。
連合はベア要求のほか、過重労働対策への取り組みや、労働時間の短縮、企業内の男女格差是正、派遣労働者などの非正規労働者の処遇改善を訴えていく方針だ。12月2日に実施される第69回中央委員会にて協議を深め、春闘方針を決定していく。(編集担当:久保田雄城)